日々の音色とことば

新刊『ヒットの崩壊』が出ました。

音楽について

ようやく音楽が「プラスチック製の円盤」から解き放たれつつある(追記あり)

ここ数年、繰り返し繰り返し「CDが売れない」とか「音楽不況だ」とか悲観的な物言いをしてもしょうがないと言ってきたわけだけど、ようや日本でも状況が変わりつつある気がします。音楽がようやくCDというプラスチックの円盤から解き放たれつつある。そんな…

今年もありがとうございました/2014年の年間ベストについて

もう年の瀬。 2014年はあっという間にすぎた一年でした。個人的には初の単著を出せたことが大きかったかな。cakesの大谷ノブ彦さんとの対談やFaRaoでの音楽ルーツ記事などいくつかの連載が始まったり、『AERA』の「現代の肖像」で福嶋麻衣子さんや川田十夢さ…

ロックフェスと「戦争反対」について

■フェスの「レジャー化」が前提になった2014年 ROCK IN JAPAN FESTIVALに行ってきました。 今日の話はそこで感じたことについて。基本的にこのフェス、参加者にとっては楽しくて過ごしやすい素敵な場所だと思っているのです。そして同時に、そうやって進化し…

『アナと雪の女王』とグローバルポップの新潮流

(画像は公式サイトから) ■マルチデバイスのパッケージ すごいことになってる。7月16日に発売された『アナと雪の女王』のMovieNEXが初日で66万枚売れたというニュース。おそらくこれは初週で100万枚いくでしょう。 オリコンの調べによると、2014年7月16日…

Vampilliaというバンドが凄いという話

去年に「endless summer」という曲をきっかけに知って、そこから一気にハマったVampilliaというバンドについての話。いやあ、この人たち最高なんですよ。 写真見ても一体誰なんだ?って感じだと思うんですけど。でも、曲を聴くと、すごくセンチメンタルで、…

『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』序章公開

4月3日発売の単行本『初音ミクは何故世界を変えたのか?』の発売に先立ち、序章を先行公開します。 初音ミクはなぜ世界を変えたのか?(2014/04/03)柴那典商品詳細を見る発売元の太田出版のページでは、EPUB版のダウンロードも行っています。【電子書籍版 序章…

Perfume東京ドームで、たった一つ物足りなかったこと/アイドル音楽の「体験」はまだまだ新しくなれる

■最高なエンターテイメントの「さらにその先」のフロンティアちょっと前のことになるけど、今日は12月25日、Perfumeの東京ドーム公演「Perfume 4th Tour in DOME『LEVEL3』supported by チョコラBB」に行った時の話を。ライヴはそれはもう素晴らしかったわけ…

今年も一年ありがとうございました/2013年の年間ベストと2014年の音楽シーンに向けての話

2013年もありがとうございました。ちょっと後半はブログ更新滞っちゃったなあ。この記事は紅白歌合戦を見ながら書いてます。年の瀬も押し迫ってきたということで、今年一年を振り返る内容で。いやあ、ほんといろんな人が言ってるけど、2013年は豊作の一年だ…

「音楽を売る」ということの先にあるもの

■ダウンロード違法化は何だったのか僕は数年前から「“CDが売れない”みたいな話で眉をひそめて暗い顔したり誰かを悪者にして指さして騒いだりするのはもういいから、さっさと次のこと考えようよ」ということを言い続けてきたんだけど、今日の話もそんな内容。…

ボーカロイドと「死」の境界線

(画像は『THE END』オフィシャルサイトより) ■「いないけど、いる」という感覚なんだか久しぶりになってしまった。今日はボーカロイドと「死」について。5月に渋谷慶一郎+初音ミクによるボーカロイドオペラ『THE END』を観てから、いろいろと考えてきた話…

「LINE Music」はスマホの普及で壊滅した「着うた」文化を蘇らせる

■音楽配信サービス「LINE Music」が2013年内にスタートLINEが2013年内に独自の音楽配信サービス「LINE Music」を開始することを発表しました。というわけで、今日はその話。8月21日に発表された新機能、新サービスのうちの一つで、他にはビデオ通話やECサー…

「カゲロウプロジェクト」と中二病と「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」

■楽曲と物語が愛されていたライヴ空間 8月15日。じんのワンマンライブ「ライブ・イン・メカクシティ SUMMER'13」に行ってきた。彼のライブが行われたのは2度目のことだけれど、僕が足を運ぶのは初めて。ちょっと衝撃的だった。なんだか、その場に起こってい…

「閉じた文化圏」の先へ 〜2010年代の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」論 その2

前回に続いて、今回もRIJ論。今日は長いよ! ■「邦ロック界隈」というものまず、前回の「ロッキン文化圏」の話、ツイッターでの反応が大きく二つにわかれていて、すごく興味深かった。 ジャパンがなかった頃のロキノンに青春をかき乱されたおっさんとしては…

Tシャツと集合写真 〜2010年代の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」論 その1

■「ロッキン文化圏」の誕生と定着ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013に行ってきました。前回の記事の続きとしては「さあ、どのアイドルが勝ったかな?」ということを書いてもいいんだけど、それ以前にフェスそのものの構造がすごく興味深かったので、今日はその話…

きゃりーぱみゅぱみゅとサカナクションと「自分らしさ」の魔法

■「自分らしさは、身に着けることができる」ということ それは、今年3月に行われた、きゃりーぱみゅぱみゅのワンマンツアー「100%KPP WORLD TOUR 2013」、ZEPP TOKYOでのこと。ライヴが終わって混み合う物販エリアで、一人の女の子が、親と一緒にファンクラ…

bloodthirsty butchers、吉村秀樹氏のこと

bloodthirsty butchers、吉村秀樹さんが亡くなった。享年46歳。ニュースを訊いたときは、すぐには信じられなかった。ナタリー - bloodthirsty butchers吉村秀樹が逝去http://natalie.mu/music/news/91684 (これは「RISING SUN ROCK FESTIVAL 1999 in EZO」…

浮世絵化するJ-POPとボーカロイド 〜でんぱ組.inc、じん(自然の敵P)、sasakure.UK、トーマから見る「音楽の手数」論

■ガラパゴス化した環境で「浮世絵的な進化」を遂げたJ-POP今のJ-POPはすごく面白い。僕はここ最近、そのことをつくづく感じている。その理由はシンプルで、日本の音楽シーンが「ガラパゴス化」してるから。それも、いい意味で。ビルボードのTOP10がオースト…

「音楽メディア」を巡るあれこれと、新しい音楽との出会い方

■問題は「紙 VS ウェブ」じゃない先日、THE PUBLICにて、こういうトークイベントがありました。「音楽メディアってなんだ!? 鹿野 淳×大山卓也トークセッション」http://2-5-d.jp/schedule/20130422p/音楽情報誌「WHAT’s IN?」、「PATi・PATi」の休刊のニュー…

音楽の快楽をどう語るか ― 書評『日本文化の論点』とその先の話

(※追記修正しました) 宇野常寛さんの新著『日本文化の論点』を読みました。 【目次】 序章 〈夜の世界〉から〈昼の世界〉へ 論点1 クール・ジャパノロジーの二段階論――集合知と日本的想像力 論点2 地理と文化のあたらしい関係――東京とインターネット 論点3…

僕らは「サード・サマー・オブ・ラブ」の時代を生きていた

■2007年に何が起こったのか2007年は時代の変わり目の年だった。少なくとも、音楽にとっては、間違いなくそうだった。去年、僕はようやくそのことに気付いた。iPhone、USTREAM、ニコニコ動画、初音ミク、soundcloud。いろんなサービスが、いろんなプロダクト…

冨田勲「イーハトーヴ交響曲」と、初音ミクの神話性

初音ミクは「雨ニモマケズ」を歌わなかった冨田勲『「イーハトーヴ」交響曲』、11月23日に行われたその世界初演をライヴ収録したCDがリリースされた。僕は東京オペラシティコンサートホールにて行われたその公演を生で観た。胸を揺さぶられるような内容で、…

2012年の5曲+30曲

2012年を振り返って、個人的にすごく心に響いた5曲をピックアップ。 選ぶのに悩むかと思ったけれど、結果的に自分が書いたブログ記事のまとめになりました。 XINLISUPREME「Seaside Voice Guitar A.D.」「2012年、個人的に響いた1曲――XINLISUPREME「Seaside …

祈ることの力 〜GREAT3「彼岸」によせて

■R.I.Pと言えないツイッターで訃報を知ることが多くなった。僕の知っている誰かが、誰かの死を僕に伝える。たとえば昭和の名優。つい最近までテレビの中で活躍していたタレント。数々の名曲を残した偉大なるミュージシャン。映画監督。いろんな人の死が、情…

10-FEETの「つなぐ言葉」と、くるりの「まぜる言葉」

557日後の邂逅2012年、9月19日。京都を拠点に活動をする二組のロックバンドが、ニューアルバムを世に発表した。 くるりの『坩堝の電圧(るつぼのぼるつ)』と、10-FEETのアルバム『thread』。同世代であり、互いに強い地元への愛情を持ちつつ、様々な音楽の…

10-FEET“シガードッグ”と「ギャグの形見分け」

備忘録のようだけれど、気付いたことを後で思い出せるように、きちんとここに書いておこう。今年の夏、RUSH BALLで観た10-FEETのライヴ。takumaは、ニューアルバム『thread』に収録された“シガードッグ”を披露する前に、こんな風に言っていた。「先月37歳に…

「そんな場合じゃない」という時にこそ、音楽が鳴っていてほしい

くるりのニューアルバム『坩堝の電圧(るつぼのぼるつ)』を聴いている。とても素敵な音楽で、そして時代というものにとても誠実に向き合った表現で、本当はそのことについて書こうと思っていたんだけれど、今日は、取り急ぎ、別の話。 ■中国の情勢と公演中…

2012年の「シーンの垣根を壊した5曲」(その2:ナノウ”文学少年の憂鬱”)

■2010年末〜2011年春に生まれていた萌芽前回の記事2012年の「シーンの垣根を壊した5曲」(その1)http://shiba710.blog34.fc2.com/blog-entry-512.htmlでは、米津玄師“vivi”と、livetune feat. 初音ミク“Tell Your World”を取り上げた。そこで書ききれなか…

サカナクション“夜の踊り子”と、暗がりを歩く子供たちの「リトルネロ」

■人はリズムとメロディがないと、繰り返しに耐えることができないたぶん、最初にそのことを思いついたのは、友人と飲みながらの他愛もない会話がきっかけだったと思う。「アパレルショップの店員って、なんで“歌う”んだろうね?」 「歌う?」 「昔に柳原可奈…

2012年の「シーンの垣根を壊した5曲」(その1)

2012年も半分以上がすぎ、自分が聴いてきた、熱くなった音楽を振り返る。いろんなことを語りたいんだけど、特に、ボーカロイドやインターネットミュージックを基点にした音楽に、やっぱり重要な起点となる曲をいくつも知ることができた実感がある。ぐつぐつ…

Fuji Rock Festival '12 2日目感想まとめ

昨日に続いて、「ツイートするつもりだったフジロックのライヴ感想まとめ」です。やっぱり携帯の電波は入らず。人も多い! でも、それを除けばすごく快適な場所でした。 ■SEUN KUTI & EGYPT80 13:00〜 グリーンステージいざ、二日目。この日は基本的にホワ…