日々の音色とことば

『ヒットの崩壊』『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』発売中です

サニーデイ・サービスの新作が常軌を逸している

サニーデイ・サービスのニューアルバム『DANCE TO YOU』を、リリースされてから繰り返し聴いてる。すごくよい。最初はピンと来なかったんだけど、何度か聴くうちにどんどんハマってきた。その「よさ」の輪郭がクリアになってきた。 これ、相当ヤバいアルバム…

虚構と現実は逆転する――『シン・ゴジラ』感想

『シン・ゴジラ』を観た。ゾクゾクした。おもしろかった。というか「すげえ……」という感想だった。終わったときに自然と拍手してしまった。 shin-godzilla.jp そしてこれは、ただ単におもしろいだけでなく、観た人の胸に「刺してくる」作品だということも痛…

まぶしい光の中でゴールテープをきるということ――BOOM BOOM SATELLITESの最後の作品に寄せて

今日の記事はBOOM BOOM SATELLITESの新作『LAY YOUR HANDS ON ME』について。そして、「何かをやり遂げる」ということについての話です。彼らのことを知らない人にも届けばいいな。 ■闘い続けてきたバンドの最後の凱歌 BOOM BOOM SATELLITESは、6月22日にリ…

日常を歌うことがプロテスト・ソングになる、ということ

以前noteに書いていたことなんだけど、MVが公開されたタイミングでもあるし、こちらにも残しておこう。 アナログフィッシュのアルバム『Almost A Rainbow』がすばらしい。 特にすごいのが下岡晃が書いた「No Rain(No Rainbow)」という曲の歌詞。 Analogfish…

宇多田ヒカルは死をどう描いているのか

今月号の『MUSICA』に、宇多田ヒカル『花束を君に』『真夏の通り雨』のレビュー原稿を書きました。 MUSICA(ムジカ) 2016年 06 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: FACT 発売日: 2016/05/16 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る そこにも書いたことだけれど…

アノーニ『ホープレスネス』が告発する「新しい戦争」

アノーニのアルバム『ホープレスネス』を聴いた。久しぶりに、身震いするような感覚を得る一枚。素晴らしい。 itun.es まずはサウンド。ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーとハドソン・モホークがプロデュースしている。つまりは今のエレクトロニック・…

BABYMETALと「第3次ブリティッシュ・インヴェイジョン」の時代

今日はBABYMETALの話。ニューアルバムの『METAL RESISTANCE』がいよいよすごいことになってきている。 聴いた瞬間「名盤!」と直感するクオリティだったけれど、おそらく今年を代表する一枚になると思います。今出てる『ミュージック・マガジン』にはここに…

lyrical school「RUN and RUN」の縦型MVは何が革新的だったのか

今日の話は、lyrical schoolのメジャーデビュー曲「RUN and RUN」のミュージック・ビデオについて。スマートフォンでの再生を前提に「再生するとスマホがジャックされる」というギミックを込めた映像。こいつが素晴らしい。 というわけで、まずは動画を。 vi…

停滞をどう生きるかーー堀江貴文『君はどこにでも行ける』書評

堀江貴文の新刊『君はどこにでも行ける』を読んだ。 とてもおもしろかった。ところどころで食い足りないところ、同意できないなあと思うところはあるけれど、ひとつの考え方として参考になる部分は沢山ある。 激変する世界、激安になる日本。出所から2年半、…

なぜこの巨大な悪意に、誰も気付かないのだろう。――『ドルフィン・ソングを救え!』書評

今回は樋口毅宏さんの小説『ドルフィン・ソングを救え!』について。 献本いただいたんだけど、発売日に買って読みました。とても面白かったし、最後にさらっと仕掛けられた鋭い針のようなものに痺れたんだけれど、周囲の反響を見てると「あれ? この部分み…

今年もありがとうございました/2015年の総括

もう年の瀬。 紅白歌合戦を見ながら書いてます。 2015年もいろいろあった一年でした。「心のベストテン」でフジテレビの深夜枠に進出したり、ラジオに出させてもらったり、ありがたい縁が沢山ありました。 はてなにブログを移転して、いくつかバズった記事も…

オジーとふなっしーと多様性について

OZZFEST 2015に行ってきました。 いやー、すごかった。楽しかった。 初日はKORNがヘッドライナーでわりと正統派なヘヴィメタルやラウド系のバンドが集うラインナップだったのだけれど、僕の行った2日目のラインナップは相当濃いことになっていた。なにしろ、…

優越感ゲームから降りられなかったオトナ女子「40歳OL」の正体

photo by Takuma Kimura flic.kr ■自意識の牢獄から抜け出せない理由 今日は与太話。 tokyo-calendar.jp だいぶ話題になってましたね。「東京カレンダー」の連載「東京女子図鑑」。秋田の国立大学を卒業してアパレル企業に就職したというOL「綾」を主人公に…

かくして日本のハロウィンは「現代の百鬼夜行」となった

■ハロウィンが「キャズムを超えた」のは2012年 今年のハロウィンもすごかった。特に都内では、渋谷も六本木も新宿も大混雑で、とんでもない騒ぎになっていたみたい。 六本木のハロウィンの様子。車道も人が行き交い混雑しています https://t.co/VMLCa2pOyi p…

アナログレコード人気再燃が象徴する「音楽が売れない」時代の終わり

今日の話はアナログレコードについて。なぜレコード人気は再び再燃しはじめているのか、僕なりの考察です。 これは、もともと日本マーケティング協会が刊行する『マーケティングホライズン』10月1日発行号の特集内に書いたもの。特集は「カジュアルリッチの…

「祟り神2.0」と「大仏建立」について

これは「言霊」についての話。何度も繰り返し書いてきたことではあるけど、忘れないためにもう一度書いておこう。 flic.kr 僕はわりと本気で言霊の存在を信じていて、少なくとも人が願いの気持ちと共に発した言葉はその人とその人の周囲に何らかのプラスの作…

「問十二 夜空の青を微分せよ 街の明りは無視してもよい」を、恋文として読み解く

「問十二 夜空の青を微分せよ 街の明りは無視してもよい」(川北天華) 数年前にとある高校生によって詠まれ、今もリツイートさ続けている短歌。最初に発表されたのは2011年、京大短歌でのことだという。 この歌を見た時のことは少しだけ覚えている。歌稿に…

RADWIMPS「青とメメメ」と「あの日のこと」

青とメメメ「セプテンバーさん」 - YouTube 15(火)21時より! RADWIMPS @RADWIMPS 『「青とメメメ」発売記念『あの日のことを、話そう』#メメメ座談会』の配信が決定!! お楽しみに★ #スペシャアプリ http://t.co/dlBRGZ8lJf pic.twitter.com/KBnHfuL8y6— …

「フジロックの行方」と「すべてのジャンルはマニアが潰す」という話

行ってきました。FUJI ROCK FESTIVAL ‘15。 今年は珍しくずっと晴れて、快適に過ごせた3日間。楽しかった。なんのかんの言われつつ、やっぱりフジロックには他のフェスとは違う独特なムードがある。僕は年中いろんなフェスに行ってレポを書くような仕事をし…

ストリーミングの時代において、音楽カルチャーはどう変わるのか

いよいよApple Musicがスタートしましたね。 まず、最初に気付いてツイートしたこれが1000RT越えてビビった。 こうしてみると、今の時代の「音楽」をあらわすイメージは「音符」でも「ディスク」でもなく「たくさんの手が上がっているライブの光景」なんだな…

ようやく音楽が「プラスチック製の円盤」から解き放たれつつある(追記あり)

ここ数年、繰り返し繰り返し「CDが売れない」とか「音楽不況だ」とか悲観的な物言いをしてもしょうがないと言ってきたわけだけど、ようや日本でも状況が変わりつつある気がします。音楽がようやくCDというプラスチックの円盤から解き放たれつつある。そんな…

ニコニコ超会議で見てきたライブ演出の未来

ニコニコ超会議2015に行ってきました。 今年で4年目。初年度から参加してますが、徐々に規模と熱気を拡大してる印象。今年は幕張メッセイベントホール、9~11ホールもフルに使っていて、1日目の4/25だけの参加でしたが、動線や休憩場も含めたイベントとしての…

「ラッスンゴレライ」はどこが面白かったのか

こないだ飲み会で熱く語ってたら「それブログに書いたらいいじゃん」と言われたので書きます。 今回の話は、2015年初頭を席巻したお笑い芸人・8.6秒バズーカーのネタ「ラッスンゴレライ」について。3月23日、デビュー最速となる大阪・なんばグランド花月での…

コミュニケーション・ゲームの技術論

吉田尚記アナの『なぜこの人と話をすると楽になるのか』を読みました。 なぜ、この人と話をすると楽になるのか 作者: 吉田尚記,ヤスダスズヒト 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2015/01/31 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4件) …

「豊かさ」ってなんだろう。――THE NOVEMBERS小林祐介氏と考える

「豊かさ」ってなんだろう。 ふと、そういう疑問を持った。ちょっと大きなテーマなんで、なかなか手に負えないんだけど、それについて今のポップミュージックを通してちゃんと考えてみようと思ったのが年の暮れの頃。ほんとは正月にブログにアップしようと思…

サム・スミスとUber、そして新しい時代のマーケティングについて

■貴重なライブと、その先への期待 サム・スミスのライブを観てきました。しかもUberのキャンペーンで当選して、黒塗りハイヤーで行ってきた。めちゃ貴重な体験をしました。というわけで、今日はその話。 待望の初来日。場所は鶯谷の東京キネマ倶楽部。感想か…

今年もありがとうございました/2014年の年間ベストについて

もう年の瀬。 2014年はあっという間にすぎた一年でした。個人的には初の単著を出せたことが大きかったかな。cakesの大谷ノブ彦さんとの対談やFaRaoでの音楽ルーツ記事などいくつかの連載が始まったり、『AERA』の「現代の肖像」で福嶋麻衣子さんや川田十夢さ…

tofubeatsと森高千里と、imoutoidと死と音楽

LIVE SET FOR 20141217 森高千里 with tofubeats J-Pop provided courtesy of iTunes tofubeats with 森高千里のスペシャルライブに行ってきました。 渋谷WOMBで行われた「Don’t Stop the Music “First Album” Special Night」。今夏のサマーソニックに続い…

サム・スミスとグラミー賞、アメリカと日本について

ずいぶん久しぶりになっちゃった。今日はグラミー賞の話。そのことが象徴する、アメリカの社会の潮流が徐々に変化してきたってことと、じゃあそのへん、今の日本はどうなのよ?って話。 ■マックルモア&ライアン・ルイスからサム・スミスへの流れが象徴する…

音楽の「コピーできない体験」はライヴだけじゃない、という話

今日は音楽と「複製」にまつわる話。 「THE BIG PARADE」でも「URA PARADE」でも「体験は複製できない、だから(もうみんな言ってるけど)これからはライブだ」ということを、いろんな人が言っていて。もちろんその通りなんだけど、もう少し分解すると、複製…