日々の音色とことば

usual tones and words

RAGE AGAINST THE MACHINE@幕張メッセ

99年の苗場以来、9年ぶりのライヴ。

正直なことを言うと、実はRAGE AGAINST THE MACHINEの再結成と来日には、そこまで熱くなるような思いがあったわけではなかった。さらに言ってしまうと、00年代のザック・デ・ラ・ロッチャには「失望」に似た思いがあった。あの状況の中で、ロック・シーンの中でもっともステートメントを渇望されていた人間が、何故あそこで沈黙を選んでしまったのか。そういう思いがあった。ザックの脱退が2000年。トレント・レズナーとレコーディングに入っているという情報が流れたのが2002年。2003年、アメリカのイラク侵攻の直後にはDJシャドウと作り上げた「MARCH OF DEATH」を公式サイトで公開するも、その後ソロ・アルバムのリリースは延期に次ぐ延期。そして、2007年コーチェラでのRAGE AGAINST THE MACHINEの復活。じゃあ、この7年はなんだったのか?という気もしていた。

というわけで、そこまでガツガツと前に行くつもりもなくB1ブロックの真ん中くらいに陣取る。予定時刻から30分ほど遅れて開演。ステージに4人が現れ、音を鳴らす。

やっぱり、凄かった。「Guerilla Radio」から「People of the Sun」の流れで、否応なしに身体が動く。風邪気味で体調も悪かったんだけれど、容赦なくパワーを浴びせかけられているかのような感じ。AUDIOSLAVEのライヴを観たときには、悪いけれど、こういう感覚はなかった。やっぱり、この4人だとなんらかの化学反応が起こるんだな。

だいたい、冷静に考えればRAGE AGAINST THE MACHINEの鳴らす音はすごくシンプルだ。楽器はベース、ギター、ドラム。トムのギターはコードのストロークよりもリフが中心。それもエフェクターを駆使してギターらしからぬ音を繰り出してくる。なので、音の成り立ちとしては、スカスカに聴こえてもおかしくない。さらに言えばこの日の幕張メッセの音響はそこまで良くなく、全体がごちゃっとまとまって聴こえてくるような感じもあった。

けれど、そういう「分析」を瑣末なものにしてしまうのが、彼らのパフォーマンスなのだった。7年間のブランクがあったとは思えないステージ。アンコールの最後、「Killing In The Name
」を歌い終えたザックは笑顔で、4人はステージ上でスクラムを組んでいた。

新作を作るつもりはないらしいけれど、本当なのかな。僕には、「この4人でしかあり得ない」ということを再確認するための7年だったとしか、思えない。


セットリスト

Guerilla Radio
People of the Sun
Bombtrack
Testify
Vietnow
Bullet in the Head
Down Rodeo
Bulls on Parade
Tire Me
Know Your Enemy
Sleep Now in the Fire
War Within A Breath

(Encore)
Freedom
Killing In The Name