日々の音色とことば

新刊『ヒットの崩壊』が出ました。

ヤジが可視化すればいいのに

鳩山首相の所信方針演説で飛んだ一つのヤジが話題になっている。遊説に訪れた青森で、職を失って自殺した息子を持つ一人のおばあさんが、握手した手をなかなか離さなかったという話にむけて「そんなのどこにでもいるよ!」というヤジ。続けて笑い声も起こっている。

参議院議員松浦大悟twitterによってネット上に広まった。

http://twitter.com/GOGOdai5/status/5168433583

鳩山首相所信表明演説。青森に遊説に行った際、息子が職に就けず自殺した年配の女性が、絶望の中で握手した手を離さなかったという話をされたのですが、自民党の議員から「そんなものどこにでもいるよ!」というヤジ。あまりに酷い。10:05 PM Oct 25th movatwitter

GOGOdai5

参議院議員 松浦大悟

ただ、この短さではミスリードを誘うのも事実で、実際にどういう文脈で発言されたのか検証した記事もある。

「そんなのどこにでもいる」と叫んだ自民党議員は何を野次ったのか
http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20091027/1256667906

よく聞くと、「そんなのどこにでもいる」は、鳩山さんの「私の手を離そうとしない、1人のおばあさんがいらっしゃいました」という発言のあとで上がっているようにとれます。
(中略)
「私の手を離そうとしない、1人のおばあさんがいらっしゃいました」
「そんなのどこにでもいる」
「わははは」
・・・という流れですから、もしも私の聞き取りが正しければ、普通の馬鹿なヤジです。

実際、記事のリンク先にある参議院本会議インターネット中継を聴いてみた。確かにそのタイミングで発言されている。文脈としても、自殺した息子ではなく握手した手を離さないおばあさんが「そんなのどこにでもいるよ」ということなのだろう。

ただ、どちらにしろこの手の「普通の馬鹿なヤジ」が、一体何の役に立っているんだろう?と思う。これは自民党がどうとか民主党がどうといった話じゃない。基本的には国会中継というのは、野次の飛ばし合いなわけである。どんな番組よりも一番子供に見せたくない、何故ならこんなことを「選ばれた大人たち」がやっていることを子供が学んだら学級崩壊に直結するから――という意見もどこかで見た。その通りだと思う。

たとえば、誰がどんなヤジをどんなタイミングで言ったかが可視化されるとしたら、どうだろう。まず国会中継は、議員全員の顔がアップで映るようなマルチアングルのものにする。別に全員分のカメラを用意しなくても可能だろう。それがネット上に誰でもアクセスできる形でオープンにされる。それをもとに、「誰が何を言ったか」を一覧できるようなサイトが用意される。それが、Yahoo!みんなの政治のようなウェブサービスからリンクされたりする。twitterがうまく活用できるのならそれでもいいけれど、「誰が言ったか」という一次ソースが公開されることが重要。

もちろん実際に導入するとしたらコストや荒らしの問題は沢山あるだろう。でも、このシステムが実現したならば、馬鹿なヤジを飛ばすというのは自殺行為になるはず。それでもヤジを飛ばすというのなら、それは必然的にクリティカルなもの、批評性というか意味のあるものになるはず。

もし「言論の自由が〜」とか「プライバシーが〜」とか言う議員がいたら、「国会は2ちゃんねるではないですよ」とだけ言えばいいと思う。