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日々の音色とことば

新刊『ヒットの崩壊』が出ました。

『PAPYRUS』VOL.27

PAPYRUS』 VOL.27 2009年12月号に原稿を書きました。

papyrus (パピルス) 2009年 12月号 [雑誌]papyrus (パピルス) 2009年 12月号 [雑誌]
(2009/10/28)
不明

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特集「いしわたり淳治 “機能”する音と言葉のために」と、サイサリアサイサリスサイケのインタビューを担当。特にいしわたり淳治のインタビューは、ここ1〜2年ずっと話を訊きたいと思ってた相手だったので、すごくやりがいのある仕事だった。

彼の基本的な考え方に「正直であること」というものがある。いしわたり淳治は作詞家/プロデューサーであるから、それはミューシャンの在り方として語られる。でも、この「正直であること」に関しては、音楽がどうこうにかかわらず、今の時代を生きるのに必要な考え方なのではないかと、僕は思っていた。そういう話をしようと思っていた。それにしっかりと応えてくれた。

「今の時代、音楽をただで手に入れている人も、ちゃんとお金を払って買う人もいる。その違いは、アーティスト性(を感じとっているかどうか)にあると思います。音楽にお金を払うということは、作品を手近に置くことによって、聴く人が力を貰えるということ。そこには、アーティストの“人間力”がある。だから、音楽だけでなく、思想や暮らし方も含めてどの瞬間をとってもブレがないアーティスト性が大事だと思う。アーティストが自分の新曲を紹介する『いい曲ができました。聴いて下さい』というコメントを、どこまで説得力を持って言えるかだと思うんです。本当にそう思っている人は、ちゃんとそれが伝わる。曲に対する思い入れや音楽に対する向き合い方、それがその一言に出てしまうから」

「正直であるということは、誰にでも必ずできることなんです。そしてそれが、人として一番格好いいこと。だから音楽をやっている人は音楽をやる瞬間にそうすればいいし、他の仕事の人もそう。
『とは言ってもさ……』とか『それは理想の話でしょう?』とか、みんな言いがちだと思うんです。でも、言う前に本気でやったことはあるのかと思う。正直者がバカを見ると言う人は沢山いるけれど、そこまで本当に正直に生きて、本当にバカを見るかどうかやったことある?って僕は思うんです。やってみないとわからない。じゃあ、やってみようという」

この発言には完全に同意。その場をとりつくろうためだけの言葉や、本心でもない形だけの言葉を発していくことは、後々において自分を苦しめる、と僕は思っている。「ここだけの話」だとか、裏表をうまく使い分ければ、いろんな場面で如才なく切り抜けていくこともできるだろうけれど、基本的には僕はあんまりそういうことはしたくない。「それが、人として一番格好いいこと」とは思っていなかったけれど、なんだかそう言われるとスカっとする気持ちがする。

特集は作詞家としての歌詞解説、プロデューサーとしての9mmやチャットモンチーやS.R.S.との関係、彼自身の書き下ろしコラムなども加えた14Pのボリューム。音楽誌ではなかなか出来ない、深い内容になってると思います(自画自賛)。


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