日々の音色とことば

usual tones and words

2010年の音楽シーンについて

少し早いけれど、2010年を振り返っていこうと思う。


久しぶりに帰国して、山のように溜まっていた郵便物を開けると、僕が原稿を書いた『MUSICA』と『MARQUEE』が届いていた。そして、どちらでも「今、日本のロックシーンに起こっている変化」を特集していた。思わず読みふけってしまった。面白い。2010年という年は、価値観の潮目が変わる大きなターニングポイントとなった一年だった。日本の音楽シーンにコミットしている人だったら、そのことを感じない人はいないと思う。その点在する感覚をそれぞれの視点から線に繋ぐような特集だった。

一体どんな変化が起こっているのか。それを書こうとして自分のブログを読み返してみた。
で、僕自身が2年10ヶ月前に書いた文章が、以下。


今は2008年で、僕自身の実感を言うならば、何かが“切り替わった”というような変化の感触はない。特に海外を見ていると、新しいアートフォームが生まれたというよりも、リヴァイバルという“再解釈”が続いてきた印象がある。

ただし、「音楽を聴く」という環境については、00年代になってからドラスティックな変化が起こってきた。iPOD第一世代の発売は2001年。myspaceのスタートは2003年、YOUTUBEは2005年だ。どれも、あっという間にティーンエイジャーのカルチャーに普及した。iPODが“シャッフル”するリスニング体験は、CD一枚一枚をとっかえひっかえ聴いていた時代に比べると全く違うものだと思う。それに、ちょっと気になったバンドの音をmyspaceで視聴してみたり、YOUTUBEでPVを検索してみたりという行為も、当たり前のものになった。

だから、あえて言うならば、90年代よりもさらに「フラット化」が進んだ状況、あらゆる音楽が一つの箱の中におさまり、チャンネルを切り替えるだけでアクセスできる状況が「00年代」の音楽シーンなんだと思う。

先日から繰り返し書いている「18歳のときに受けたインパクト」論で言えば、そういうネット環境が「当たり前のもの」になった2003〜2005年あたりに18歳だった層が、新たなシーンを切り開いていくような気がする。

音楽シーンの「00年代」/浸水ノート

神聖かまってちゃんが、まさにこの世代だ。世界の終わりも、そう。オワリカラも。「iPodとmyspaceとYouTubeが当たり前になった時代」に18歳を迎えた世代だ。たった2年10ヶ月前だけれど、予言としては当たっていた、と言っていいよね。

ああ、そうか。マジメにブログ書いてると、過去から読み返して発見することがあるんだなあ。





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