日々の音色とことば

usual tones and words

「version21.1 third」@ZEPP TOKYO

サカナクション、the telephones、OGRE YOU ASSHOLEの3バンドによるイベント「version21.1 third」に行ってきました。スペシャルゲストはandymori。出演順はサカナクション、andymori、OGRE YOU ASSHOLE、the telephonesの順。まずは簡単にそれぞれのレビューを。


サカナクション

トップバッターのサカナクションは濃縮セットリスト。「全部出します」と呟いていた山口の言葉の通りの内容。“ame(b)”から“アルクアラウンド”、“セントレイ”とアタックの強い曲をがんがん放り込んでくる序盤に、“ホーリーダンス”“マレーシア32”で踊らせる中盤。レーザーの演出ををここだけ使うというのも、さすがライブ巧者という感じ。ほんと、無駄がないなあ!という。

新曲の“ルーキー”も初めて聴いた。いい曲。いきなりお客さんを掴んでいる。アンセムとしての威力が強い。野性味と切迫感を併せ持つような曲。そこから“アイデンティティ”で終演。45分で出し切った感じだった。


andymori

新ドラマー加入してからは初めて見るけど、予想以上にフィットしてる。上半身裸の肉体派。あと、これだけ大きなハコで観るのも実は初めてだけど、まったくもって堂々してる。1曲目の“投げKISSをあげるよ”は出だしでちょっとつまづいたせいかイマイチだったけど、続く“FOLLOW ME”から一気に掴む。“CITY LIGHTS”から“SAWADEECLAP YOUR HANDS”で頂点に達していた。

andymoriは、なんといっても歌詞がいい。そのことを改めて感じる。小山田壮平って、この世代の日本のロックミュージシャンの中では群を抜いたリリシストだと思う。ラストは“WEAPONS OF MASS DESTRUCTION”、“革命”という2曲。自意識の拘泥じゃなくて、シニシズムでもなくて、もちろん単なる共感を誘うための装置じゃなくて、ユーモラスに、でも鋭く、伝わることを諦めずに歌う言葉。グッとくる。

OGRE YOU ASSHOLE

これは鳥肌がたった。キラキラと降り注ぐような轟音のイントロから、“ひとり乗り”で逆光に照らされながらのサイケデリックなアンサンブル。ライブを観るのは一年ぶりくらいだけど、確実に化けた。覚醒した。
やっぱりアメリカツアーがきっかけになったのだろうか? 2010年代のUSインディ勢とがっぷり四つに組んできた自信がついたのか。風格が前と全然違う。ゆらゆら帝国が解散して以降空白になっていた日本のサイケデリックロックの中心点を背負う風格とも言うべきか。

曲としてはやはり“バランス”が抜けているかな。あれだけへんてこでアンチポップな成り立ちの曲が、不思議な力でフロアに笑顔を振りまいている感じ。

the telephones

貫禄のトリ。お客さんの盛り上がりは4バンド中一番で、ロックで踊るというイベントのコンセプトを考えても当然とはいえさすが。そしてセットも「踊らせる」ことに徹した、バンドのピークポイントを切り取るような内容。アンコールを含めて全9曲中4曲のタイトルに「DISCO」がついているという(笑)。完全燃焼という感じだった。


いいイベントだった。
andymoriのMCでも3人が「僕、音楽が好きです」と言い合う場面があったけれど、そういう空気がフロアにも充満していた。