日々の音色とことば

usual tones and words

東日本大震災に、届けられた音楽たち(7)

震災から12日。

フェスやイベントの開催中止、音源のリリース延期のニュースは相次いでいる。

しかし、今日も、様々なミュージシャンが各地で自らの思いを音楽の形にしている。
突き動かされるような表現もあれば、自らの無力さに悩みながら「できることをするしかない」と
形になった楽曲もある。

僕自身としては、音楽のあり方を根元から問い直されるような期間だった。


今日も、震災後に発表された曲を紹介していきます。


砂の上/後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

特設サイトのみにて公開。視聴は以下のURLから。
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/AKG/special/sunanoue/

ある春の午後に僕らはまだ揺れている
一切れのパンを分け合えずにいる
その夜に君は何も出来ずに途方に暮れる
愛はあるか 祈りはあるか

ある春の夜に僕らはまだ揺れている
一枚の毛布に君とくるまって
次の日の朝も何も出来ずに途方に暮れる
愛があるさ 祈りがあるさ

ほら 今 鳴らさなきゃ
闇に涙がこぼれ落ちて
僕の無力なこの声も 響き合って 砂の上

(歌詞より)

困難の中にいる人を直接救えない音楽の無力さ、自分の立っている場所の不確かさ、それでも願いを込める気持ちが伝わってくる。

楽曲の公開だけでなく、ASIAN KUNG-FU GENERATIONは、被災地への支援を目的とした特設ページ「NANO-MUGEN FES. & onlyindreams」も開設している。

また、後藤正文は、自らtogetterを利用し「いわき市救援物資受付情報」(http://togetter.com/li/114683)を作成。

自ら意欲的に情報発信する姿勢にも、頭が下がる。


笑ってる人の顔を見て(一日一歌)/ トータス松本

地震から一週間。ずっと考えていた。
おれにできることは何だろう。
それで昨日、やっとひらめいた。

「一日一歌」

これから先、とりあえず二週間、
まいにち歌を作ってその音源をアップする。

公式サイトより)

「一日一歌」と題し、3月23日よりなんと14日連続で新曲を発表するというトータス松本。その一曲目としてYouTubeにアップされたのが、この「笑ってる人の顔を見て」。
《どうしても笑えないなら/笑ってる人の顔を見て/そしたら君にも笑顔が戻る》という、シンプルなメッセージが響く弾き語りの一曲だ。「一日一歌」のシリーズは公式サイトに引き続きアップされていく予定だという。


僕らは人間だ/suzumoku

瓦礫をすくう傷だらけの両手 虚空に漂うSOSの声

「何処にいる?」「心配だ...」「くたくただ...」「もう嫌だ...」
微かな灯火が 胸の中で今 震えている

息を止めるな 繋ぐ手を離すな
その足で立つんだ 僕らは人間だ
朝の光だ 始まりの合図だ
取り戻してみせよう いつかの日常を

(歌詞より)

全国ツアーの仙台公演を3月11日・12日に予定し、移動中に自らも被災したシンガーソングライター、suzumoku。
「少しでもみんなに勇気を与えられるように」と、移動した富山県内のリハーサルスタジオで急遽制作、iPhoneアプリで録音された楽曲が、この「僕らは人間だ」。歌詞には被災地の惨状を目の当たりにしたリアリティと強度がある。

3月13日にYouTubeで公開された楽曲は、その後amazonの「たすけあおうNippon 東北関東大震災義援金」サイトにて有料MP3ダウンロード配信が決定。収益の全額は義援金として、日本赤十字社または米国赤十字社を通じて被災地に寄付されるという。

直接のリンクは以下から。