日々の音色とことば

usual tones and words

AKB48峯岸みなみの話の追記

そこにある「なんか」を言語化する

解析とってないのでわからないですが、先日の記事「AKB48峯岸みなみを坊主頭にさせたのは誰か」は、おそらく相当のアクセスを集めたようでした。いやあ、やっぱりこのイシューは「誰もが何か言いたいと思ってる」問題だったんだな、と再確認。

で、ここまで記事が拡散すると、ツイッターやソーシャルブックマークでいろんな意見が届いた。もちろん異論や反論もあった。でも「自分のモヤモヤとした気持ちが言語化されてスッキリした」というのが多かったのは、何よりありがたかった。

あの記事は、あの動画を見て直感的に「なんか気持ち悪い」と思った自分自身の「なんか」を、まずはちゃんと言語化しておこうと書いたもの。議論を巻き起こそうとか、問題提起しようというより、まずは、そういう意図があったものなのです。なので、書いた文章にこういう感想をもらうことは素直に嬉しかった。そして、いろんな人がいろんなことを思ったはずなので、それは勿論受け止めた。

いろんな記事にも、いくつか目を通しました。

宇多丸 コンバットREC 峯岸みなみ坊主謝罪事件 緊急討論 AKB48と恋愛http://miyearnzz.sakura.ne.jp/archives/13698
伊集院光が語る AKB48峯岸みなみ坊主謝罪事件と秋元康のスゴさhttp://miyearnzz.sakura.ne.jp/archives/13731
ニコ生PLANETSライジング「AKB48白熱論争2」宇野常寛×小林よしのり×中森明夫×濱野智史http://live.nicovideo.jp/watch/lv125176353
峯岸みなみの「丸刈り動画」についての対話 ★田口ランディ+橘川幸夫http://ch.nicovideo.jp/metakit/blomaga
峯岸みなみは今後、わき毛を伸ばすべきだと思う。http://d.hatena.ne.jp/karatedou/20130201#p1
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 - あの動画についてやはり触れざるを得ない
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20130207/243462/

なるほどなあ、と思います。そしてやはり、「何か言いたい」構造のイシューなんだな、と。

システムと熱量

記事の反応の中には、いくつか「柴は“アイドルやAKB48にも目配せしてますよ”みたいな素振りをしていながら、こういう問題があるとすぐに手の平を返しやがる」みたいなものもあった。それは違うんだよなあ、と思ったので、それについては書いておこう。

そういえば、このブログ内ではスタンスをあまり語っていなかったけれど、僕はAKB48に関して言えば、ガチなファンやオタではないとはいっても、アイドルブーム全体を含めて、決して否定的に捉えているわけではない。投票によって序列をコントロールすることができるというゲーム性、コミュニケーションを商品化したエンターテイメントシステムというのは、今後のポップカルチャーの定石の一つになっていくと思っている。で、AKBも含めて今のアイドルブームに全体にある、演じ手・受け手双方が持つ“全力”の熱量は、決して揶揄したり、否定するようなものではないと思っている。

とは言っても、やっぱりなんだかんだ言ってゲーム性より、システムより、僕自身は音楽そのものが持つ熱量に惹かれてるんだな、と思う気持ちも大きい。

なので、たとえばドラゴンアッシュのkjが昨年にAKB48について語っていることがあって。僕としては彼のスタンスにすごく共感するのだ。ロック側の人間が「あんなものくだらない」とか「オタク格好悪い」みたいなこと言いがちな中、彼はこんな風に言っている。

なんというか、俺、AKB48はマジですごいと思ってるのね。やったことのないことをやってるし、青春の全てを賭してあの子たちはやってるわけなんだから。

俺はAKBのファンの人たちも本当にすごいと思ってるんだ。周りからどう思われようが、働いた金でCDを何枚も買ってる人がいるわけじゃん。実は、その人達が一番俺に近いと思うんだよね。忌み嫌われてようが、それがクリエイティヴでなかろうが、格好悪かろうが、自分が応援したいから応援する。棒を振りたいから振る。あの願望みたいなエネルギーが、俺は音楽に対して、ある。AKBのライヴ中にさ、踊って、掛け声を上げて、汗かいてる人、傍から見たらすげえ滑稽じゃん? だから俺も同じように滑稽なんだと思うんだよね。でも、それでいい。人の目を気にせずエネルギッシュでいる部分では、あの人たちに俺は負けたくないと思う。

nexusインタヴュー | ドラゴンアッシュhttp://www.nexus-web.net/interview/dragonash/index4.php

いやー、いいこと言うな―って。

アイドルと自殺

あと、僕が強く思うのは、やっぱり、誰も死なないでほしい、ということなんですよ。

上の宇多丸さんとコンバットRECさんの対談でも触れられているけれど
http://miyearnzz.sakura.ne.jp/archives/13698
やっぱりある世代の人たちは、岡田有希子さんの自殺を想起するんだな、と思った。そうじゃなくても、髪を坊主頭にしたということに、自傷行為のような意味合いを感じてしまった人も多いようだった。「このまま行くと誰か死ぬぞ」みたいな意見も、ツイッターで見かけた。

きっと内部の人も「負荷をかけている」ということが十分にわかっているだろう。最悪の事態が起こってしまうことの危惧は感じているだろうと思う。対策は練っているんじゃないかと思うし、そうであってほしい。

女の子というのは、そもそも、思い詰める生き物だと思うのだ。野猿が解散したくらいで、投身自殺してしまうことだって、ありえた。「あんなことでバカバカしい」と冷笑するようなトーンであの事件を語るトーンは当時も今も見かけるけれど、もし自分があの子の親だったらと思うと、ほんとうにやりきれなくなる。AKB48を中心としたグループには、いわば、そういう年代の女子が数百人レベルで「衆目のなかで負荷をかけられながら、ひしめき合う」という、未曾有の事態があるわけで。

そう考えると、謝罪のあとに、同じグループの仲間や、ミッツ・マングローブなど年上の芸能人が彼女を支える姿勢をすぐに見せたのは、すごくいいことだなと思った。あと、大島麻衣とか芹那とか、AKB48グループを離れた人たちがタレントとしてあっけらかんと活躍してるのも、いいことなんじゃないかなって思う。でも、それだけじゃ足りないよね。少なくとも、メンタル的な面でのケア体制はきっちりと構築すべきだと思う。

ということで、ドキュメンタリー映画もまだ観てないし(観たら感想書きたくなるだろうし)、この後もこのテーマは続いていきそう。ちなみに「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」の今後の予定。

2月9日(土)シネマハスラー 「DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?」評論
2月16日(土) アイドルソング特集(Base Ball Bear小出祐介登場)
2月23日(土) 秋元康×宇多丸対談

うわー、面白そう。

なんですが、まあ、このへんの話は、追っていくとズブズブの沼に足を踏み入れてしまいそうなので、僕としてはこのへんで一歩引いておくことにします。