日々の音色とことば

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Fuji Rock Festival '13 3日目感想&関連動画まとめ

フジ3日目


続いて3日目。うすうす感じてたんだけど、去年に比べると、やっぱり人少なかったね。渋滞や行列や混雑がなくて快適に過ごせたのはイチ参加者として嬉しいんだけど、グリーンの前方がぎっしりと盛り上がってる風景も好きなので、ちょっと複雑な気持ち。あと、ちょっとずつ年齢層が高くなってるのが気になった。

英米だけじゃなくヨーロッパやアジアや南米やオセアニアも巻き込んでグローバル/グローカル化する「洋楽」と、その一方でアイドルやアニソンやボカロも含めガラパゴス的な独自進化を遂げている00年代中盤以降の「J-POP」という見取り図はこのブログでも何度も書いてきたことだけど、そういう状況の中で、フジの立ち位置も少しずつ変わってきてるんだな、と思ったり。


■WILKO JOHNSON 14:00〜 GREEN STAGE

昨日は遅くまでいたので、朝寝坊。ヨ・ラ・テンゴの途中からウィルコ・ジョンソンへ。末期すい臓がんのため、これがおそらく最後の来日になるだろうという彼。でも、なんか、そういうセンチメンタリズムじゃなくて、純粋に「楽しいロックンロールライヴ」として騒いではしゃいでる感じのお客さんも多くて、ステージもすごくエネルギッシュで、すごくいい風景だなと思った。

上は今年1月に東京・南青山で行われたチャリティーライヴの模様。「富士映劇」でも上映され、8月1日にはDVDとしてもリリースされる。

Wilko Johnson Tokyo Session 2013 AT RED SHOEShttp://www.sockettv.org/wilkojohnson/
ジョー・ストラマーも、忌野清志郎も、フジロックにゆかりのある沢山の人たちが亡くなっていった。ウィルコ・ジョンソンと言えば当然思い出すアベフトシも。人の命が失われるのは寂しいことだけれど、それを思えば、こんな風にフェアウェルパーティーなムードで見送れるのは、幸せなことかもしれないかも。

■加藤登紀子& THEATRE BROOK –半生記ロック

土砂降りの雨。昨日でレインウェアの防水性能が落ちていたのを実感したので、たまらずオアシスエリアに避難。でも、しばらく経ったら、雨が上がった。素晴らしい。

ステージに戻ると、シアター・ブルックの新作『最近の革命』から、二人のデュエット「愛と死のミュゼット」。MCでは「私、ミック・ジャガーと同い年なんよ」というパンチラインも飛び出す。

今年は、ビートルズ、ストーンズのデビューから50年で、それと入れ替わるようにしてエディット・ピアフが亡くなったという話から、エディット・ピアフの“愛の讃歌”。そして、ラストに披露したのは、9月に公開される映画『キャプテンハーロック』の劇中歌として作ったという新曲「愛はあなたの胸の中に〜L'amour dans ton coeur〜」。これがかなり壮大な、胸を打つ曲。

夏木マリにしてもウィルコ・ジョンソンにしても加藤登紀子にしても、格好いい60代の姿を観れるというのは、このフェスの最近の魅力なのかも。

■MUMFORD & SONS 17:30〜 GREEN STAGE


1日目はRHYE、2日目はビョークだったけど、3日目は彼らがベストアクト。ほんと最高だった。上の動画を観てもわかる通り、英米やヨーロッパでは大合唱を巻き起こしてるバンドで、それこそグラストンベリーではストーンズ、アークティック・モンキーズと並んでヘッドライナーを任されているくらいの「格」のバンドで。この光景に比べると、やっぱり人の少なさは、初来日だからしょうがないかもしれないけど、勿体無いなと思った。

音源で聴くとフォーク〜カントリーなテイストだけど、ライヴで見ると完璧にダンスミュージックなんですよ。しかも僕がすごく好きなタイプの、泣き笑いで踊る感じのダンスミュージック。途中でドラムを叩いてた曲以外は、リズム楽器は基本的にヴォーカル&ギターのマーカス・マムフォードが、歌いながら足で踏んでるバスドラ一個だけ。なのに、あれだけ踊らせるグルーヴを叩きだすもんだから、ほんと凄い。曲によってはホーン隊やコーラスをサポートに招いて、分厚いサウンドを作り上げる。

最初は後ろのほうで座って観てたんだけど、我慢できなくなって途中から前に行ったのだった。途中でレッド・マーキー終わったばかりのHAIMがゲストに出てきて可愛かった。ラストにやった「アイ・ウィル・ウェイト」は、ちゃんと大合唱を巻き起こしてた。完璧にアンセムだった。


■VAMPIRE WEEKEND 19:20〜 GREEN STAGE

いやあ、風格という感じでした。前にフジロックで観たときには線の細さみたいなものが見えたヴァンパイア・ウィークエンドだけど、貫禄が増してる感じ。

「A-PUNK」でギターの弦が切れたときなんて、「そのまま続けて!」なんてビートをキープして、オーディエンスも手拍子しながらそれに乗って、しばらくして準備ができてから曲に突入するという強心臓を見せてたし。

ただ、どうしてもこの出順だとマムフォードと比べちゃうよなあ。個人的にはマムフォード・アンド・サンズが最高だっただけに、その高いハードルを超えてこない感じだった。


■DAVID MURRAY BIG BAND Featuring MACY GRAY 21:00〜ORANGE COURT

いやあ、楽しかった。ビッグバンドは門外漢だけど、世界中のジャズフェスで喝采を浴びてるのも納得のプレイ。実は先週にやった北海道の野外フェス「JOIN ALIVE」でも見ていて、そこは邦ロックの若いお客さんが中心だから彼らにとってはめちゃアウェーだったと思うけれど、それでも音を聴いて集まった人を盛り上げていて、もう一度観たいと思ったのだった。

そして、「今世紀最高のディーヴァ」と紹介されてたメイシー・グレイのエンターテイナーとしての能力に脱帽。何度も衣装チェンジしてステージに出てくるんだけど、そのたびに、あっという間に場を掌握してしまう。「もっと!」「声が小さい!」って、シンガロングを巻き起こす。

最後の方では「You Gotta Get Down!」って客全員しゃがませてから「Up!」ってジャンプさせるの5〜6回くらいやってたけど、それはさすがに、3日間山道歩いてきたフジロッカーにガチでスクワットさせるの酷すぎると思ったよ

■THE XX 22:25〜WHITE STAGE

動画は今年のグラストンベリーから。

デヴィッド・マレーが終わってホワイトに向かうと、すでにTHE XXは終盤。ちょっとしか観れなかった。でも一番好きな「エンジェルス」聴けてよかった。

完璧に張り詰めた、でも優雅な、ミニマル・ポップ。疲れは最高潮に達していて、椅子に座ってぐったりと目をつぶりながら味わってました。