日々の音色とことば

usual tones and words

今年もありがとうございました。/2020年の総括

例年通り、紅白歌合戦を観ながら書いています。

 

「特別な一年だった」「困難な一年だった」「大変な一年だった」と、皆が振り返る2020年。とりあえず、こうして無事に年の瀬を迎えられたことに感謝しています。

 

2020年はどんな年だったか。それはKAI-YOUに寄稿したコラムにも書きました。

 

premium.kai-you.net

 

なかなかシビアな一年だったんですが、その一方で、クリエイティブや、価値観という意味では、新しい種が撒かれた一年だったような気がします。

 

個人的にも、生活の習慣も、考え方も、いろいろとアップデートしていった一年だったように思います。新型コロナウイルスのパンデミックだけでなく、ジェンダーや、メンタルヘルスや、いろんなことについても。改めて自分自身と向き合った時間も沢山ありました。

 

2021年は、もっと勉強したい。

 

そうつくづく思います。たぶん2019年までの世界には戻らない。だからこそ、これまでの習慣や当たり前にとらわれず、前に進んでいくことを考えていかねばなと思っています。

 

最後に2020年によく聴いていた曲と、50枚を。

 

来年もよろしくお願いします。

 

open.spotify.com

 

 

 

A.G. Cook『7G』『APPLE』
Rina Sawayama『SAWAWYAMA』
米津玄師『STRAY SHEEP』
Phoebe Bridgers『Punisher』
BRONSON『BRONSON』
Holly Humberstone『Falling Asleep At The Wheel』
The 1975『Notes on a Conditional Form』
テーム・インパラ『The Slow Rush』
レディ・ガガ『Chromatica』


BTS『BE』
Moment Joon『Passport & Garcon』
テイラー・スウィフト『folklore』
Internet Money『B4 The Storm』
メジャー・レイザー『Music Is The Weapon』
青葉市子『アダンの風』
Sufjan Stevens『The Ascension』
The Japanese House『Chewing Cotton Wool』
Love Regenerator『Love Regenerator 3』
Khruangbin『Mordechai』


チャーリーXCX『how i'm feeling now』
The Weeknd『After Hours』
Boon『Midnight』
Sub Urban『Thrill Seeker』
春ねむり『LOVETHEISM』
羊文学『POWERS』
Joji 『Your Man』
King Gnu『CEREMONY』
君島大空『縫層』
Oneothtrix Point Never『Magic Oneohtrix Point Never』

Jonsi 『Shiver』
ディスクロージャー『ENERGY』
Awich『孔雀』
Yaeji『WHAT WE DRAW』
Viva Ola『STRANDED』
Glass Animals『Dreamland』
4s4ki『おまえのドリームランド』
THE NOVEMBERS『At The Beginning』
Dua Lipa『Future Nostalgia』
GEZAN『狂(KLUE)』


Shohei Takagi Parallela Botanica 『Triptych』
Juice WRLD『Legends Never Die』
ヨルシカ『盗作』
J Hus『Big Conspiracy』
ROTH BART BARON『極彩色の祝祭』
玉名ラーメン『future』
eve『Smile』
寺尾紗穂『北に向かう』
Kelly Lee Owens『Inner Song』
高井息吹『kaleidoscope』

津野米咲さんの急逝に思う

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あまりに突然の悲しい報せ。

 

赤い公園の津野米咲さんが亡くなった。29歳だった。

 

natalie.mu

 

「どうして」という言葉が湧き上がって、胸に詰まる。とても大きな喪失感がある。

 

最初に赤い公園のライブを観たのは2011年のことだった。インタビューで最初に会ったのは2012年にメジャーデビューのミニアルバム『透明なのか黒なのか』『ランドリーで漂白を』をリリースしたときのこと。その頃は全員が白い衣装を身にまとっていた。独特な和音と、不思議なほど耳が惹きつけられるメロディのセンスを持ったバンドというのが第一印象だった。話してみたら、すごくあっけらかんとした明るくて人懐っこい人柄と、底知れない才能を感じた。

 

www.cinra.net

 

この頃からある時期まで、赤い公園は、ずっとライブの最後に「ふやける」という曲を演奏していた。自主制作盤には収録されているが、デビュー以降は音源化されていない。明らかにバンドの中でも特別な曲だった。静かに、抑えたテンポの中で歌が始まる。途中でエモーションが溢れ出すかのように轟音に転じ、濁流のようなギターノイズを掻き鳴らし、ステージを降りる。

 

その姿がとても鮮烈だった。

 

メジャーデビューした2012年10月からは津野米咲の体調不良による半年間の活動休止もあったけれど、2013年8月には1stフルアルバム『公園デビュー』をリリースする。

 

津野米咲が「赤い公園のリーダー」としてだけでなく作曲家としてメキメキと頭角を現していったのもこの頃で、その大きなきっかけになったのは、やはりSMAP「Joy!!」だったと思う。

 

無駄なことを 一緒にしようよ
忘れかけてた 魔法とは
つまり Joy!! Joy!!
あの頃の僕らを 思い出せ出せ
勿体ぶんな
今すぐJoy!! Joy!!
どうにかなるさ 人生は
明るい歌でも歌っていくのさ

 

「無駄なことを一緒にしようよ」というフレーズは、それをSMAPというアイドルグループが歌うという意味合いも含めて、本当に「大衆の心の負荷を取り除く」エンターテイメントの真髄のような一節だったと思う。

 

そして、その曲が活動休止中に作られていたことも以下のインタビューで語られている。インタビュアーは三宅正一さん。

 

natalie.mu

 

2014年には赤い公園は2ndアルバム『猛烈リトミック』をリリースする。このアルバムの1曲目に収録された「NOW ON AIR」を最初に聴いたときの高揚感は今でも覚えている。

 

www.youtube.com

 

music.fanplus.co.jp

 

アルバム『純情ランドセル』収録の「KOIKI」も、とても好きな曲の一つ。

 

www.youtube.com

 

バンドはいろんな紆余曲折を経てきた。

 

2017年8月にはヴォーカリストの佐藤千明が、Zepp DiverCityTOKYOにて行われたライブ「熱唱祭り」にて脱退。そして翌2018年5月、『VIVA LA ROCK 2018』のステージから新ヴォーカルとして元・アイドルネッサンスの石野理子が加入。2019年にはエピックレコードに移籍。

 

苦境も乗り越え、バンドは歩みを続けてきた。昨年11月には『消えない -EP』をリリース。辿ってきた道筋を感じさせる曲だ。

 

www.youtube.com

 

こんな所で消えない 消さない

 

今年4月には「2度目のファーストアルバム」となるフルアルバム『THE PARK』をリリースしたばかり。そして11月25日には『オレンジ/pray』がリリースされる予定だった。

まだまだ、途上だった。赤い公園というバンドの歩む道は、こんな所で消えるようなものではなかった。津野米咲という人は類まれなる音楽家としての才能の持ち主で、これからも沢山の名曲を生み出していくはずだった。

 

心から冥福をお祈りします。安らぎとともにあることを。

 

 

そして、もうひとつ、大事なことを。

 

しんどい時代が続く。暗がりや荒波の渦中にある人、綱渡りの向こう側が見えないような苦しい思いを抱えている人も、きっといると思う。でも、できるだけ、心をゆるめて、身体を休めて、頼れる誰かに頼ってほしい。どうか一人で抱え込まないでほしいと願う。

 

ミュージシャンへのメンタルヘルスへのケアは、今後、より大事な問題になっていくはずだ。アメリカやヨーロッパでは専門家によるカウンセリングやセラピーの窓口も設けられている。

 

heapsmag.com

 

日本でも、こうした海外の動きに学ぶべきと強く思う。音楽やエンターテイメント業界が動くべき時にきている。『なぜアーティストは壊れやすいのか?音楽業界から学ぶカウンセリング入門』の著者でもある手島将彦さんが提言している。僕も同意する。

 

 

 

rollingstonejapan.com

 

 いとうせいこうさんと星野概念さんの『ラブという薬』も参考になると思う。

 

ラブという薬

ラブという薬

 

 

喪失を埋めることはできない。でも、悲しみを繰り返さないために、社会のほうが、環境のほうが、変わるべき時に来ているのだとも考えている。

コロナ禍によって音楽産業はどう変わったか 執筆・取材リンクまとめ

ここ半年、「コロナ禍によって音楽産業はどう変わったか」というテーマで沢山の取材をしてきました。

 

そのリンクを随時こちらにまとめておきます。

 

 

 

gendai.ismedia.jp

 

野村達矢氏(一般社団法人 日本音楽制作者連盟理事長・株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション代表取締役社長)へのロングインタビュー。前編では野村氏がプロデュースを手掛けたサカナクションのオンラインライブの裏側から、今後のライブエンタテイメントの可能性まで語ってもらった。(9月23日掲載)

 

magazine.mercari.com

岐路に立つ音楽やミュージックカルチャーの行く末をさぐるメルカリマガジンの新連載「新しい音楽」。その第1回として、綾小路 翔さんに、紆余曲折を経て実現に至ったという今年の「氣志團万博」開催までの裏側から、来年にむけての決意まで、その目に見える未来をたっぷりと語っていただきました。(9月25日掲載)

 

realsound.jp

 

コロナ禍で音楽業界が大きな打撃を受ける中で、ストリーミングサービスや動画プラットフォームの存在感は日本でもいよいよ大きくなってきている。

 「スマホ発のヒット」が世を賑わせ、瑛人を筆頭にインディペンデントながらもTikTokをきっかけにブレイクを果たすニューカマーが登場しつつある今、この潮流はどこに向かおうとしているのか。

 TikTokのゼネラルマネージャー・佐藤陽一さん、LINE MUSICの取締役COO高橋明彦さんとコンテンツマネージャーの出羽香織さんへの前後編インタビュー。(9月6日掲載)

 

spice.eplus.jp

 

未曾有の危機に瀕している演劇界、そして変化を求められるエンターテインメント業界について、一般社団法人日本音楽事業者協会会長もつとめるホリプロの堀義貴代表取締役社長に話を聞いた。(8月24日)

 

spice.eplus.jp

 

クリエイティブマン代表の清水直樹氏へのインタビューでは、スーパーソニックの開催にむけて、そして今後のライブエンターテインメントの未来に向けての、熱い思いのこもった話を聞くことができた。(6月23日掲載)

 

 

spice.eplus.jp

 

エンターテインメントはどこへ向かうのか? エンタメビジネスの未来について、各業界の識者に話を訊くインタビュー連載「エンタメの未来を訊く!」。初回のゲストは一般社団法人 日本音楽制作者連盟理事長/株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション代表取締役社長の野村達矢氏。

 

 

 

 

ampmedia.jp

 

miraisozo.mizuhobank.co.jp