日々の音色とことば

usual tones and words

2016-01-01から1年間の記事一覧

今年もありがとうございました/2016年の総括

例年通り、紅白歌合戦を見ながら書いてます。 今年もいろいろあった一年でした。個人的には、講談社現代新書から『ヒットの崩壊』という新刊を出せたことが、何より大きかったです。 ヒットの崩壊 (講談社現代新書) 作者: 柴那典 出版社/メーカー: 講談社 発…

ピコ太郎について僕が知っているいくつかのこと

Embed from Getty Images 古坂大魔王さん、梅田彩佳さんがMCをつとめるテレビ朝日LoGirlの番組『あやまおうのリニューアルしたよ。』にゲスト出演してきました。 テレビ朝日LoGirl「あやまおうのリニューアルしたよ。」 というわけで。これを機会に、改めて…

『この世界の片隅に』と、「右手」が持つ魔法の力

今日は、映画『この世界の片隅に』についての話。 もうすでにいろんなところで評判になっている。たくさんの人が心を揺り動かされている。絶賛されている。「映画館で観るべきだ」って言っている。僕も同意。名作だと思う。だから付け加えることはないかなと…

『ヒットの崩壊』の「はじめに」

講談社現代新書より上梓した単著『ヒットの崩壊』が発売になります。amazonでは11月16日となっていますが、明日、11月15日には都内書店に並び始めると思います。 この本の問題意識は、以下に引用する「はじめに」のところで書いています。 「ヒット曲」とい…

アメリカのポップスターは、束になってもトランプに勝てなかった

Embed from Getty Images ■二つの世界の分断 アメリカ大統領選の結果が出た。ドナルド・トランプが第45代大統領に就任することになった。 まずは僕自身の実感をここに記しておきたい。リアルタイム実況で赤く塗りつぶされていくアメリカ合衆国の地図を見て、…

【告知】新刊『ヒットの崩壊』が11月15日に発売になります。

ヒットの崩壊 (講談社現代新書) 作者: 柴那典 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/11/16 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 今日は告知。11月15日に新刊『ヒットの崩壊』が、講談社現代新書より発売になります。(amazonでは16日発売ですが、書…

『君の名は。』は、何故ここまでヒットしたのだろうか

■「オタクとリア充」みたいなことじゃない 『君の名は。』を、もう一度観てきた。 www.oricon.co.jp 正直、ここまでヒットすると思ってなかった。興行収入ランキングは3週連続1位。累計では早くも動員481万人、興収62億円を記録している。すごいことになって…

SMAP解散の「真相」と「本当」について

■「関係者」が語るもの 今日はSMAPの解散を巡る「真相」と「本当」の話。 と言っても、僕が何かを知ってるわけじゃない。事情通みたいな話をしたいわけじゃない。むしろその逆だ。 そういう話は、スポーツ新聞とか週刊誌とかネットメディアに山ほど載ってい…

サニーデイ・サービスの新作が常軌を逸している

サニーデイ・サービスのニューアルバム『DANCE TO YOU』を、リリースされてから繰り返し聴いてる。すごくよい。最初はピンと来なかったんだけど、何度か聴くうちにどんどんハマってきた。その「よさ」の輪郭がクリアになってきた。 これ、相当ヤバいアルバム…

虚構と現実は逆転する――『シン・ゴジラ』感想

『シン・ゴジラ』を観た。ゾクゾクした。おもしろかった。というか「すげえ……」という感想だった。終わったときに自然と拍手してしまった。 shin-godzilla.jp そしてこれは、ただ単におもしろいだけでなく、観た人の胸に「刺してくる」作品だということも痛…

まぶしい光の中でゴールテープをきるということ――BOOM BOOM SATELLITESの最後の作品に寄せて

今日の記事はBOOM BOOM SATELLITESの新作『LAY YOUR HANDS ON ME』について。そして、「何かをやり遂げる」ということについての話です。彼らのことを知らない人にも届けばいいな。 ■闘い続けてきたバンドの最後の凱歌 BOOM BOOM SATELLITESは、6月22日にリ…

日常を歌うことがプロテスト・ソングになる、ということ

以前noteに書いていたことなんだけど、MVが公開されたタイミングでもあるし、こちらにも残しておこう。 アナログフィッシュのアルバム『Almost A Rainbow』がすばらしい。 特にすごいのが下岡晃が書いた「No Rain(No Rainbow)」という曲の歌詞。 Analogfish…

宇多田ヒカルは死をどう描いているのか

今月号の『MUSICA』に、宇多田ヒカル『花束を君に』『真夏の通り雨』のレビュー原稿を書きました。 MUSICA(ムジカ) 2016年 06 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: FACT 発売日: 2016/05/16 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る そこにも書いたことだけれど…

アノーニ『ホープレスネス』が告発する「新しい戦争」

アノーニのアルバム『ホープレスネス』を聴いた。久しぶりに、身震いするような感覚を得る一枚。素晴らしい。 itun.es まずはサウンド。ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーとハドソン・モホークがプロデュースしている。つまりは今のエレクトロニック・…

BABYMETALと「第3次ブリティッシュ・インヴェイジョン」の時代

今日はBABYMETALの話。ニューアルバムの『METAL RESISTANCE』がいよいよすごいことになってきている。 聴いた瞬間「名盤!」と直感するクオリティだったけれど、おそらく今年を代表する一枚になると思います。今出てる『ミュージック・マガジン』にはここに…

lyrical school「RUN and RUN」の縦型MVは何が革新的だったのか

今日の話は、lyrical schoolのメジャーデビュー曲「RUN and RUN」のミュージック・ビデオについて。スマートフォンでの再生を前提に「再生するとスマホがジャックされる」というギミックを込めた映像。こいつが素晴らしい。 というわけで、まずは動画を。 vi…

停滞をどう生きるかーー堀江貴文『君はどこにでも行ける』書評

堀江貴文の新刊『君はどこにでも行ける』を読んだ。 とてもおもしろかった。ところどころで食い足りないところ、同意できないなあと思うところはあるけれど、ひとつの考え方として参考になる部分は沢山ある。 激変する世界、激安になる日本。出所から2年半、…

なぜこの巨大な悪意に、誰も気付かないのだろう。――『ドルフィン・ソングを救え!』書評

今回は樋口毅宏さんの小説『ドルフィン・ソングを救え!』について。 献本いただいたんだけど、発売日に買って読みました。とても面白かったし、最後にさらっと仕掛けられた鋭い針のようなものに痺れたんだけれど、周囲の反響を見てると「あれ? この部分み…