日々の音色とことば

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ザ・ゴシップ『ライヴ・イン・リヴァプール』

かのリック・ルービンがソニーBMG社長就任後契約第一弾アーティストとして、メジャー進出を果たしたザ・ゴシップ。

昨年の来日で初めて対面した紅一点Voのベス・ディットー嬢は、予想外に「ちっちゃくてキュート」な人でした。この驚きは、バンドのことをよく知ってる人以外にはうまく伝わらないかな。

ザ・ゴシップはアーカンソー州のスリー・ピース・バンド。ソウルフルでパンキッシュなサウンドと、強烈なライヴ・パフォーマンスでまずUKで火がついた彼らだけれど、特に注目されたのはNMEの選ぶ06年の「最もクールな人物」No.1に選ばれたベス・ディットー。公称95kgという巨漢。しかもレズビアン/熱心なフェミニストであることを公言していたり、ファッション・ブランドのインストア・ライヴを頼まれて「私に合うサイズの服を作ってないから」という理由で断ったり、奔放な発言でメディアを賑わせてきた人物。NMEではヌード写真で表紙を飾ったこともあり、それが下の画像。

beth_NME

まあとにかく強烈なキャラな彼女なのだが、実際に会ってみたら、疲れているにもかかわらず笑顔を欠かさず、気配りを欠かさず、こちらの質問にも100%返してくれるサービス精神旺盛の「いい子」だった。もっとフェミニスト的な、ライオット・ガールズ的な「姐御系」をイメージしてたんだけど、全然そんなことなかった。身長も、150cmくらい? 確かに横にはデカイんだけど。

アメリカ南部の中でも超保守的な土地であるアーカンソー州で育ったベスにとっては、ひょっとしたらその「性格のよさ」は生き抜くための術だったのかな、とも思う。なにしろマイノリティに対しては相当抑圧的な場所である。その抑圧がザ・ゴシップのソウルフルなところとパンキッシュなところを生んだんじゃない?というこちらの指摘には「その通り!」と彼女も言っていた。

翌日のライヴでは全身を揺らして熱唱したり、フロアに降りて客を煽ったり、かなりの迫力のパフォーマンスを見せてくれたザ・ゴシップ。やっぱりライヴで人気を得てきたバンドだけあって、グルーヴの持つパワーも圧巻。今年のフェスで是非観たいアクトだ。

インタヴューは2月1日発売の『rockin'on』に掲載されます。

ライヴ・イン・リヴァプールライヴ・イン・リヴァプール
(2007/12/19)
ザ・ゴシップ

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