日々の音色とことば

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音楽シーンの「ナナロク世代」

「ナナロク世代」という言葉がある。文字通り、1976年前後に生まれた人たちのこと。

この「ナナロク世代」という言葉、今まではネット起業家やエンジニアの世代を表すものとして使われてきた。代表的なところだと、2ch管理人/ニワンゴの西村博之氏(1976年生まれ)、はてな社長・近藤淳也氏(1975年生まれ)、mixi社長・笠原健治氏(1975年生まれ)あたり。

でも、最近よく思うのが、日本の音楽シーンにおいても「ナナロク世代」は独特の存在感を持ってるんじゃないか?ということ。特にロックバンド方面に絞ってピックアップしてみると、

くるり・岸田繁(1976年生まれ)
アジカン・後藤正文(1976年生まれ)
サンボマスター・山口隆(1976年生まれ)
氣志團・綾小路翔(1976年生まれ)
銀杏BOYZ・峯田和伸(1977年生まれ)
元SUPERCAR・中村弘二、いしわたり淳治など(1977年生まれ)

あたり。バンドメンバー達もほぼ同世代だ。

並べてみて思うことがひとつ。なんというか、厄介な世代なんだなあ、と思うのである。王道の“ロックスター”的カリスマがいない世代というか。そのかわり、文系/サブカルチャー的な自意識を持った表現者たちが多い。ヒネくれた感性から出発して、独自の方向を切り開いていく人たち。

どう書いても語弊のある言い方になってしまうけれど、何らかの共通点はあるよなあ、と思う。無理やりな言葉で言うと「90年代感」ということになるんだろう。バブル期の高揚が完全に終わり、地下鉄サリン事件と阪神大震災が起こった95年に17〜19歳だった世代。思春期を終えたら閉塞感が待っていた、という世代。

ネット企業家を指す本家の「ナナロク世代」という言葉では、大学に入学した頃にWINDOWS 95が発売され、インターネットが普及したのが大きい――と語られることが多い。

それと同じように、音楽やカルチャー・シーンでも“95年”が一つのターニングポイントになっているんじゃないか、と思う。