今週は「エレクトロ・ポップ強化週間」ということで、今度はUSのアーティストたちを紹介。
Texas (2008/03/18) Playradioplay! 商品詳細を見る |
まずは、弱冠18歳、テキサス州出身のダン・ハンターによるソロ・プロジェクト=PLAYRADIOPLAY!。17歳で名門レーベルISLANDの契約を射止めセルフ・プロデュースのEPでデビュー、FALL OUT BOYやTHE KILLERSなどのオープニング・アクトをつとめてきたという“シンデレラ・ボーイ”である。
サウンドの方向性は、青く切ないメロディとキラキラとしたエレクトロを基調にした、いわゆる“ポスタル・サーヴィス以降”のモノ。打ち込みだけでなくギター、ベース、キーボード、ドラムをこなすマルチな才能を持っていて、しかも声もいい。エモっぽい少年性を持ったハイトーン・ヴォイス。はぁー、天は何物も与えるんだ、と思ってしまう。
なんだけど、彼自身はmyspaceページのプロフィールで
「僕が音楽を作る理由は退屈だからで、それがエレクトロニック・ミュージックなのはオタクだからだ」
と実もふたもない告白。写真を見ても確かに垢抜けない感じがどことなく漂っている。趣味はLEGOを組み立てること、らしい。なんか『デスノート』のニアみたいな「ちょっと欠けた天才」を思わせる。
楽曲自体はデビュー・アルバムにしては「ソツのなさ」が逆に面白くないなあと思うくらい、クオリティの高いエレクトロ・ポップ。ただ、この人の本当の才能はエレクトロニカのプログラミングやアレンジよりもメロディ・センスにあると思うので、その辺がさらに開花してきたら大きく化けそう。
http://www.myspace.com/playradioplay
Eclectric (2007/05/01) Svoy 商品詳細を見る |
そして、こちらはロシア出身・ボストン在住のソロ・アーティスト、SVOY。発売は昨年になるので随分前だけれど、先日訪れた渋谷のタワレコでも大々的に視聴機展開されてた。その手の愛好家の中ではかなり知名度も上がってきてるんじゃないだろうか。そして彼も、ルックスはやはりナード。
アルバムは、1曲目が抜群の出来。彼もいわゆる“ポスタル・サーヴィスっぽさ”を持つエレクトロ・ポップなんだけれど、白眉なのはドラムンベースのビートを上手い形で使っていること。今、ドラムンベースはポップに取り入れるアートフォームとしては、かなり“注意物件”となっていると思うのだ。もちろんアンダーグラウンドで活躍している人は根強くいるし、コアなものとしての魅力は失ってないんだけど、それをポップな歌メロと融合させようとするとかなりアウト・オブ・デイトなものになるリスクがある。その点を考えると、ビートの軽快さと疾走感だけをピックアップして泣きメロと合わせる手腕はなかなか。
アルバムの中盤から後半はR&Bっぽいビートが中心になっていて、若干いなたいんだけど、なかなかいい味を出している。