このバンド、すごく格好いい。
僕が手にとったのは、ライヴ会場で限定発売されている自主音源のデモCD-R『五感とアリバイ』。リリースされているのも、シングルの『寒月の説教』のみ。ライヴにしても、動員はまだ全然ない。数人といったところだろうか。おそらく、メディアにもまだ全然知られていない存在だ。
でも、そのステージを観ているうちに、ザワザワと心が突き動かされるような感覚を覚えた。最初は後ろのほうで見ていたのだが、いつの間にか引き込まれていてガラガラの客席を前に進んでいた。僕の経験で言えば、たとえばdownyや54-71あたりを最初に観たときの感覚に近い。
彼らの名前はcuol(クオル)。拠点は茨城県。ヴォーカル&ギター、ベース、ドラムのスリーピース。オーソドックスな編成だけれど、その音楽性は一筋縄ではいかないものだ。かつては凛として時雨の初企画「トキニ雨♯1」にも参加し、チョモランマトマトなどとも対バンしてきたらしい。確かに、そういう新世代バンドたちに通じる“鋭角性”を彼らも持っている。轟音と変拍子を駆使し、殺伐とした音風景を描き出す。
で、Vo中山の声がいい。独り言のような呟きから、繊細な歌声、千切れるような叫びへ――。単なるパフォーマンスというよりも、どこか真に迫る“危うさ”がある。
HPのデザインやジャケットを見ると、きっちりとした世界観を持つバンドでもあるようだ。チョモランマトマトや、アルバム『シフォン主義』で注目を集めている相対性理論あたりに続く存在になりそうな気がする。
myspace
http://www.myspace.com/cuol
寒月の説教 (2007/01/24) cuol 商品詳細を見る |