祖父が亡くなったという報せを受けたのは土曜日の夜遅く。梅雨入りが重なったのか、通夜と葬式はずっと雨続きだった。
祖父は105歳まで長生きした人だった。先月に久しぶりにお見舞いに行ったときは、半紙に筆でしたためられた句が壁に飾ってあった。今年の正月に書いたものだという。しっかりとした達筆だった。水彩の絵も描いていたようで、スケッチブックには風景や花から有名人の似顔絵まで描かれていた。
葬儀場にはプールでの祖父の写真もあった。100歳を過ぎた頃のものだという。
僕が生まれた時点でもう74歳だったわけで、自分の知っている子供の頃の祖父はすでに80歳を過ぎた“おじいちゃん”だった。そこから20年以上。現在の自分には、想像もつかない時間軸。通夜や告別式の場は、別れを惜しむしめっぽい場の空気と、長寿を祝う空気が、半々に混ざっていたような気がする。