bloodthirsty butchers、吉村秀樹さんが亡くなった。享年46歳。ニュースを訊いたときは、すぐには信じられなかった。
ナタリー - bloodthirsty butchers吉村秀樹が逝去http://natalie.mu/music/news/91684
(これは「RISING SUN ROCK FESTIVAL 1999 in EZO」での“7月”。あの時、あの場所に居られたことは幸せだったと思う)
吉村さんに初めてお会いしたのは2000年のこと。あの頃、ぼくは「ロッキング・オン・ジャパン」という雑誌の編集者で、同じく編集者だった上野三樹さんと、ミュージシャンの自宅に訪問してレコードやCDの話を訊くという連載コーナーをやっていた。その何回目かに登場していただいたのが吉村さんだった。杉並区にあった木造の小さなアパート。今から考えたら、初対面の何もわかってないような二人が突然押しかけて、ずいぶん失礼な話だったと思う。その頃は札幌時代の“ジャイアン”伝説なんて知らなかったし。でも、吉村さんはすごく優しかった。部屋には大量のレコードと鳴らないギターと壊れたビデオデッキが積み重なっていた。フガジと鮎川あみのポスターが並べて貼ってあった。
その時の原稿、引っ張り出してきた。懐かしい。
(『ロッキング・オンJAPAN』2000年9月号より)柴――レコードはどこで買うんすか?
吉村――新宿から吉祥寺までかな。やっぱ安い所と夜遅くまでやってるところ。結局は100円でラッキーって思って、「これ俺しかわかんねえだろうなあ」とかいうのを楽しみにあさってる。そういうの見つけるのが巧いんだよね。上野――学生時代聴いてたのは?
吉村――パンク、ニューウェーヴだね。その頃のレコードもちゃんと今でも持ってるよ。田舎だったから買える物は限られてて。何にも知らないお父さんに頼んで買ってきてもらってた、札幌で。DEVOとか。でも輸入盤のジャケがカッコ良くて欲しかったのに『違うー!』ってなって(笑)
柴――お父さんてそういうの、必ず間違えますよね(笑)。
吉村――お父さんさあ、貨物船の船乗りだったから、音楽なんて全然知らないからさ。俺すごいことやらしたなあって。
柴――レコードの貸し借りとかってしてました?
吉村――貰う方だね(笑)、まるっきり貰う方。「これはきっと俺んとこ来た方がいい」って思ったら、自然とあって。今でも大事にしてるよ。売ってお金になってるのも一杯あるけど。柴――あ、ここにあるレコードの写真も撮りましょうよ。
吉村――でも、見て「これ、俺のヤツだ!」って思う奴いるんだろうなあ(笑)。ニック・ドレイク、ハスカー・ドゥー、ザ・ポップ・グループ、モーターヘッド、ペンギン・カフェ・オーケストラ……(床の上にレコードを並べ始める)……並べるんだったら、全部ぶちまかしてもいいなあ。……ああ、幸せになってきちゃったなあ。1日中こん中に埋もれてたいなあ。
その後、インタヴューで本人にお会いする機会はなかなか無かったけれど、いろんな人から、吉村さんの話を聞いた。bloodthirsty butchersを追ったドキュメンタリー映画『kocorono』がDVDとしてリリースされた時には、ヒダカトオルさんと(高校時代からの付き合いだという)掟ポルシェさんにブッチャーズと吉村さんについて語ってもらう対談の司会をしたりした。
(「いつ死ぬかわかんねえからよ」「伝説になっちゃダメなんだよ」「っていうことは、生き続けなくちゃいけないってことなのさ」。そんな風に映画の中で吉村さんは語っていて、改めて、ドキリとさせられる)
『kokocorno』については、以下の座談会も貴重なテキストとして残っている。上の言葉の真意も語られていた。
bloodthirsty butchers ドキュメンタリー映画『kocorono』公開記念座談会 吉村秀樹(bloodthirsty butchers)×川口 潤(『kocorono』監督)×中込智子(音楽ライター) - インタビュー | Rooftop
http://rooftop.cc/interview/110201140000.php
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昨日も、沢山の人が、吉村さんの死を悼んでいた。
bloodthirsty butchersから多大な影響を受けたフォロワーより、吉村秀樹氏の逝去に哀悼の意を表します。音楽も生き様も一つ一つの言葉も強烈に焼き付いていて、これからもずっと忘れることはありません。どうもありがとう。どうか安らかに。eastern youth一同
— easternyouthさん (@ey_chan) 2013年5月30日
俺はこの人にギターの音の作り方を教わったんだ面白いこといっぱい教わったんだありがとうございました!bloodthirsty butchers 吉村秀樹これからは天国からディストーションかけて下さい! instagram.com/p/Z7a2yIOpRt/
— ASANO TADANOBUさん (@asano_tadanobu) 2013年5月30日
「未完成」が、一度挫けそうだった自分を焚きつけたのも随分前。いろんな面白話もあるけど、一昨年青森で観たブッチャーズを胸に、もっと頑張ろうと思った。なんやかんやブッチャーズには励まされてばかりだ。吉村さん、ご冥福をお祈りします。
— 岸田繁 shigeru kishidaさん (@Kishida_Qrl) 2013年5月30日
96年秋、ブッチャーズ「kocorono」試聴カセットを貰った。それは当時とても不安定だった僕の精神が真に求めた音楽。数ヶ月そればかり聴き狂った末に生まれたのがGREAT3「ロマンス」です。あのギターの音色、歌声、言葉、笑顔…いつまでも忘れません。心から御冥福をお祈りいたします。
— 片寄明人さん (@akitokatayose) 2013年5月30日
怒髪天25周年イベントの時、昼のリハ前から勝手に打ち上げ用の焼酎を飲み、本番ではロマン優光に肩車を強要。出演者の誰よりアニバーサリー感を満喫していておかしかったが、誰もが「ようちゃんだからしょうがない」と許されてるのがすごかった。人徳、とはまた違う!
— 掟ポルシェさん (@okiteporsche) 2013年5月30日
ASA-CHANG&巡礼として10年のあいだ同じ事務所に所属させていただき、何度も素晴らしいライブを観せてくれて、お会いするたびに優しく楽しく話しかけてくださった吉村秀樹さん。ご冥福をお祈りします。 bloodthirsty-butchers.com/news/
— U-zhaan(ユザーン)さん (@u_zhaan) 2013年5月30日
今日はたくさん吉村さんのこと話して、いいちこ飲んだらいいと思う d.hatena.ne.jp/hostage/201305…
— LOSTAGEさん (@LOSTAGE) 2013年5月30日
あの人みたいに紐はキツく 呑んだらユルく 教えられた大事なもの結んで…by T RT @gotch_akg: ドクターマーチンを履いて、ヨーロッパに行ってきます。大船渡で俺の大好きな人が教えてくれたように、紐をキツく結んで。
— BRAHMAN/OAUさん (@tacticsrecords) 2013年5月29日
ただ、ただ、ご冥福を祈るばかりです…昨日の「バイタルサイン」での僕の演奏は、全身全霊、吉村さんに捧げたつもりです。吉村さんの優しい笑顔、そして音、一生忘れません。bloodthirsty-butchers.com/news/
— mitoさん (@micromicrophone) 2013年5月30日
吉村さん、有り難うございました。本当に本当に、有り難うございました。あなたはロックンロールを革新させて、若者たちの不安を歪んだギターで飲み込んでくれました。ヒーローは優しい。本当のヒーローは優しいんだ。
— サンボマスター山口隆さん (@yamaguchi_SBM) 2013年5月30日
吉村さんへ。いいちこで献杯。RT @asg_official: 日記を更新しました。宜しければ是非。asiangothic.org/diary/
— 栄一木暮さん (@eiichi_kogrey) 2013年5月30日
I love bloodthirsty butchers ! twitpic.com/cu2tx6
— yoshitomo naraさん (@michinara3) 2013年5月29日
とても愛されている人だったんだと、改めて思う。ご冥福をお祈りします。
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