日々の音色とことば

usual tones and words

Fuji Rock Festival '13 1日目感想&関連動画まとめ

fuji20131日目

フジロック、今年も楽しかったです。でも、去年みたいに3日間晴れとはいかなかったな。雨足が強くてつらかった。けどまあ、それもフジらしいというか。そういうわけで、3日間の雑感を1日ずつ書いていきます。

まず、去年までとの大きな違いは、会場全体で電波環境が大きく改善されてたこと。

会場ではほとんど電波が入らず。グリーンステージやオアシスだったらまだしも、ホワイトより奥に行くとほとんど圏外。僕の使ってたのはauだったんだけど、どうやらdocomoやソフトバンクも相当繋がりにくい状況だったみたい。

Fuji Rock Festival '12 1日目感想まとめ - 日々の音色とことば:
http://shiba710.blog34.fc2.com/blog-entry-508.html
これは去年に書いたことだけど、今年のauはグリーンステージでもオレンジコートでも、LTEが快適に繋がった。おそらく中継車を出してたんだと思います。以下の記事によるとソフトバンクもdocomoも快適だったみたい。

【特集】<フジロック‘13>開催直前の現地からレポート! スマホの電波状況もチェックしてみました #fujirock | Qetic
http://www.qetic.jp/music/frf13-genchirepo/101345/

てなわけで、今年は3日間ツイートしたことをもとに、オフィシャル動画紹介しながら、雑感まとめます。

■ PEPPERTONES 12:50〜 RED MARQUEE 

最近、とある人から「韓国インディー渋谷系シーンが面白い」と教えてもらって、Lucid FallとPEPPERTONESというバンドがなかなか良くって、へーそうなんだと思ってたらRED MARQUEEに出てたので観にいった。

収穫だった。お客さんは全然いなかったけど、下北沢インディーファンクラブとか出たらもっと人気出そう。メンバーのルックスとファッションが軒並み「デトロイト・メタル・シティ」の根岸崇一みたいで、それも好感度高かった。マッシュルームカットに黒縁メガネにボーダーのカットソー。

「DMC」は、日本の00年代において90’s渋谷系の「オリーブ」的なファッションセンスが笑いの対象になっていることを残酷なまでに示してしまったわけだけど、そういう歴史の経過とか一切なしに、「他国からの視点」で再解釈されたネオアコ/ギターポップ。だから、日本の「ポスト渋谷系」な人たちのセンスと比べても、すごく純粋培養感がある。

台湾とか、インドネシアとか、東アジアの「渋谷系チルドレン」は調べれば他にもいるらしい。面白そう。

■RHYE 15:10〜 RED MARQUEE

凄かった。この日のベストアクト。

(動画は今年にThe Fortressでやったライヴの模様。でも顔は見えない)

顔を出してない匿名的なユニットだし、声はシャーデーみたいなシルキーな感じだし、音源だけ聴いたときは、てっきり女の人だと思ってたんですよ。内向的で潔癖なネオ・ソウルなんだろうな、って。でも全然違った。

まず、あれだけセクシーな歌声なのに歌ってるのは男二人だった。公開されてるプロフィールを急いで見に行ったら、マイク・ミロシュとロビン・ハンニバルという二人。マイクの方がイケメンで長身で、黒いピッタリしたTシャツを着て身体をくねらせて歌う。で、音源のベッドルーム・ミュージックな感じとは全然違って、ライブはすごくアグレッシヴ。バイオリンやチェロやトロンボーンも加えた生バンド編成で、最後はパーカッション叩きまくってアグレッシブなインタープレイ。

もう、めちゃめちゃ上手い。音源だけだと潔癖な印象が強いけど、ステージは肉体的。

かなり鳥肌でした。


■ MY BLOODY VALENTINE 17:30 GREEN STAGE

これはイマイチだった……。

まず音が小さかった。バランスもそんなに良くなくて、歌声が聴こえてこない。ミックス自体は前に観た時とそんなに変わらないんだけど、ギターの音がビリビリこないと、すごく小じんまりとしてしまう感じだった。最後のノイズビットも、「あれ?」と思うほど衝撃が来なかった。

すごく好きなバンドなんですよ? 新作からドラムンベース「Wonder2」をやってくれたのも嬉しかったし。それでも、ちょっとモヤモヤする気持ちは残ったな。

2008年まで「伝説」だったマイブラが、得体のしれないままで「現在」であり続けてきたマイブラが、少しずつ「過去」になっていくかのような……。



■ Chara 18:20〜 RED MARQUEE


で、マイブラ終わりのモヤモヤした気持ちを吹き飛ばしてくれたのがCharaだった。まずバンドの出す音がよかった。シューゲイザーを正しく受け継いでる感じだったというか。出演アクトの正式名称は、Chara x Yusuke Kobayashi (THE NOVEMBERS) x KenKen (RIZE) & [Shinji Asakura x Rio x Masaki Narita]。バックバンド扱いじゃなくて、6人組のバンドとしての出演だったわけだ。

THE NOVEMBERSの小林祐介とのハーモニー、二つの歌声が“静”と“動”で溶け合うのもすごくマッチしてたと思う。特にラスト2曲、「ようちゃん(吉村秀樹さん)に捧げます」とやった「タイムマシーン」と「やさしい気持ち」が琴線に触れまくりだった。



■ SKRILLEX 22:00〜 WHITE STAGE

ぽつぽつと雨が振り続けていたけれど、グリーンステージで30分前にナイン・インチ・ネイルズが始まった頃から、だんだん雨足が強くなってくる。雷がバリバリ言い出して、夜10時にはすっかり豪雨に。

で、スクリレックス。これまた凄かった。ステージには戦闘機みたいな、ガンダムみたいなセット。お客さんの盛り上がりも熱い。上の動画はメキシコでのライヴドキュメンタリーなんだけど、そこにも出てくるクレイジーな熱狂がそのままある感じ。

で、稲妻がそこかしこに落ちてそのたびに空が光るんだけど、それがレーザーの演出とあいまってすごく派手なことになってる。楽しかった。楽しかったが、これはこちらの体力の問題だったな。かなり疲れてたので椅子で座って観てたら余計にぐったりしてしまった。万全な状況でもう一度観たい。

■ NINE INCH NAILS 21:30〜 GREEN STAGE

この日のライヴ映像がフルサイズで公開されてた! 

上に書いた通り僕はこの日スクリレックスを選んだので、NINは観てません。でも沢山の人が今年のフジのベストアクトに上げていたし、今回のNINのライヴは2013年のフジを象徴するアクトのうちの一つだったと思う。フジロックでは初となる「YouTubeでリアルタイム生配信」が実現したことも革新的だった。

ちなみに、現地で「今日のライヴYouTubeで観れるらしいよ」と話題にしたら、何人かの人に「え? YouTubeで観れるんじゃ、お客さん、わざわざ苗場まで来なくなっちゃうじゃん」と言われた。僕は、まったく逆だと思う。ソーシャルメディア上で簡単にコンテンツを共有できるようになればなるほど、「現場」の持つ力が上がるのだ。

というか、すでに海外ではそういう結果が出ている。コーチェラ・フェスティバルは2011年から3日間のステージをYouTubeでウェブキャストしている。そのことでお客さんが減ったか?というと、結果はまったく逆。2012年からは2週間同じラインナップが並ぶ3日間×2の計6日間のフェスに規模を拡大し、それでもチケットは即完売。もちろんチケットの人気はブッキングの良さっていうのもあるとは思うけれど、「日帰りで帰れない場所での開催&ステージの生配信」という施策が確実にフェスのブランド力を上げている側面はあると思う。

是非フジも乗り出してほしいと思う。