【斜視の手術をしました(2)の続きです】
手術の当日は痛み止めを飲んで寝てるうちに過ぎ、翌日にあっさり退院。
ヘヴン (2009/09/02) 川上 未映子 商品詳細を見る |
川上未映子『ヘヴン』のラストシーンのように感動的な美しい風景が見えるわけでは、なかった。当たり前である。別に僕は「ロンパリ」といじめられていたわけではないし、特に斜視を理由にアイデンティティのコンプレックスを抱えていたわけでもなかった。キリスト教的な殉教者論理を持ったいじめられっ子の友達がいるわけでもなかったし、ニーチェ的な論理でいじめる側がいたわけでもなかった。風景の「見え方」は変わって遠近感を取り戻したけれど、それで「世界」が変わるわけではない。ついでに言うとわずか1万5千円の治療費ですんだわけでもなかった。7万円くらいかかりました。
そういえば、小説の舞台は91年。その頃僕は15歳だった。通っていた学校に、たぶん、いじめはなかった。僕が見えていなかっただけなのかもしれない。それでも鷹揚な雰囲気の学級だったように思う。
ひょっとしたら僕の捉えていた現実は、作中の百瀬が言うような
「苛めっていうのはあいまいだよね。そういうのってさ、解釈の問題だからさ」
ということなのかな。
それはさておき、やはり歩くとフラフラするのでタクシーで帰宅。しばらくは自宅療養です。