スピッツの『ひみつスタジオ』がすごくいい。 これまでのスピッツのアルバムの中で一番好きかもしれない。何度か聴き返して、どういうところが好きなのか改めてわかってきた。 ストリーミングチャートでヒットして新たな代表曲になりつつある「美しい鰭」と…
僕が『平成のヒット曲』という本を出したのは約2年前の2021年のこと。そこの後書きにはこう書いた。 改めて振り返った今、ひょっとしたら我々が過ごしてきたのは、ある種の「幸福な時代」だったのではないだろうかという思いがある。 もちろん、そう考えない…
久しぶりにブログを再び動かしてみようと思う。 ありがたいことに、去年から朝のラジオ番組に定期的に出演させてもらうようになった。テレビからもたびたびお声がけいただくようになった。本も何冊か出版することができた。 「音楽ジャーナリスト」という肩…
例年通り、紅白歌合戦を観ながら書いています。 3年ぶりのNHKホールで有観客での紅白。華やかなステージセットにさまざまな歌手やグループがかわるがわる歌い踊り、沢山の人が行き交い、ひたすら賑やかなエンタメが繰り広げられる画面の様子からは、ちょっと…
今年も『M-1グランプリ』面白かった! なんだかんだで忙しくて直後に感想書けなくてもうすっかり時間が経ってしまったんだけど、それでもブログに書いておこう。ヨネダ2000の「餅つき」のネタがBPM160であることの“意味”について。 www.youtube.com 抜群に面…
(※追記しました) まあ、これは書かねばならないよな。なんせ当事者なので。 沈黙していたほうが波風立たないのはわかっているけれど、自分のスタンスを表明しておかないのはよくないなと思うのでね。そして僕にとってブログというのはそういうことを文字に…
情報技術の発達によって、誰しもがカジュアルに祟りをなすことが可能になった。 僕がそのことに気付いたのはおよそ10年ほど前のことだけれど、今では、そのことはもはや常識のようになっているのではないかと思う。クラウドに顕在化した呪いの力について、ソ…
土曜日。フジロック・フェスティバルの配信を見ながら、これを書いている。 直前まで行く準備をしていたのだけれど、先週に家族が体調を崩して熱を出してしまったので、とりあえず、見合わせることにした。幸いにして、PCR検査は陰性。すっかり回復したよう…
cakesがサービスを終了する。 cakes.mu 正直、かなり寂しい思いはありますよ。もちろんメディアの世界は諸行無常であって、全ての場所やサービスが永続的に続くわけじゃないことはわかっている。紙と違ってウェブメディアのアーカイブ性が低いということも、…
3月23日。ウクライナのゼレンスキー大統領の日本の国会での初めてのオンライン演説を聞いた。移動中だったので電車の中でYouTubeのライブ配信を見た。 youtu.be 正直な感想として「これはすごい」と心底思った。今、アメリカやヨーロッパやいろんな国で起き…
なんだか、とても気落ちしている。 ニュースに心をかき乱されて、鬱々とした日々を過ごして、思うところを上手く言葉にできない居心地の悪さを抱えたまま時間が過ぎていく。 大きな戦争が起こってしまった。2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻。砲弾が…
例年通り、紅白歌合戦を観ながら書いています。 社会全体が大きな転機を迎えた2020年に続いて、2021年も、ずいぶんと不透明な1年だったように思います。なんにせよ無事に年末を迎えられてよかった。 2021年はどんな年だったか。KAI-YOUに寄稿したコラムにも…
すっかり年末になっちゃいました。すっかり慌ただしい年の瀬。個人的には「年間ベスト」みたいなことはあまりやりたくない性分なのですが、自分の記憶を記録に定着させるという意味でも、今年聴いてハッとした曲を書きとめておこうと思います。 STUTS & 松た…
新刊『平成のヒット曲』が、11月17日に発売されました。その「はじめに」と「目次」を、横書きで読みやすいよう少し修正を加えて公開します。 平成とは、どんな時代だったのか――。 本書は、それを30のヒット曲から探る一冊だ。 1989年の美空ひばり「川の流れ…
ミームは呪術、アルゴリズムは魔術。 そのことに気付いている人は多いと思う。オカルティックな言葉を聞くと眉に唾をつけたくなるタイプの人でも、よくわからないこと、説明のつかないことが起きているという実感のようなものを持っている人はかなりいるんじ…
Spotifyの「#SpotifyPride」プレイリストを聴きながら、これを書いてる。 Spotifyが、LGBTQQIA+の権利や文化について世界中でさまざまな啓蒙活動が行われる6月の#SpotifyPrideを祝したオリジナルプレイリストを公開した。 Spotifyではグローバルにおいて「Cl…
久しぶりの更新。 迷ったけれど、やっぱり書いておこう。今考えていることを忘れないために。 ■取り残された国 およそ1年前、僕はこう書いた。 地球上で様々な国、文化、統治機構の「A/Bテスト」が行われてしまっている shiba710.hateblo.jp パンデミックと…
2021年に入って、もう1ヶ月。はやいですね。いろんなことが飛ぶように過ぎ去っていってしまうので、これはよかったなーと思うアルバムやEPを記録していこうと思います。 ■Arlo Parks『Collapsed in Sunbeams』 サウス・ロンドン出身のシンガーソングライター…
例年通り、紅白歌合戦を観ながら書いています。 「特別な一年だった」「困難な一年だった」「大変な一年だった」と、皆が振り返る2020年。とりあえず、こうして無事に年の瀬を迎えられたことに感謝しています。 2020年はどんな年だったか。それはKAI-YOUに寄…
あまりに突然の悲しい報せ。 赤い公園の津野米咲さんが亡くなった。29歳だった。 natalie.mu 「どうして」という言葉が湧き上がって、胸に詰まる。とても大きな喪失感がある。 最初に赤い公園のライブを観たのは2011年のことだった。インタビューで最初に会…
ここ半年、「コロナ禍によって音楽産業はどう変わったか」というテーマで沢山の取材をしてきました。 そのリンクを随時こちらにまとめておきます。 gendai.ismedia.jp 野村達矢氏(一般社団法人 日本音楽制作者連盟理事長・株式会社ヒップランドミュージック…
■「土の時代」から「風の時代」へ 今日はちょっと突飛な話をしようと思う。 去年くらいから西洋占星術をかじっていたんだけど、いろんな人が、2020年は大きな転機の年になると言っていた。 木星と土星が重なる約20年に一度の「グレート・コンジャンクション…
きっと、忘れてしまう。 書きとめておかないと、考えたことは、あっという間に流れていってしまう。だから僕はここに文章を書いている。読むのは1ヶ月後、1年後、10年後の自分を想定している。 新たな習慣が生まれ、それが、少しずつ過去を古くしていく。ニ…
これも今のうちに書きとめておこう。 新型コロナウィルスへの感染拡大に対して、欧米各国の首脳が「戦争」という言葉を使っている。 その言葉に、なにか違和感がある。骨が喉につかえるような、ちょっとした引っかかりを感じる。なんだろう、これは。 「これ…
時代の転換点に立ち会ってるんだな、と日々思う。 1ヶ月前に僕は一つ前の記事を書いた。 shiba710.hateblo.jp 社会が大きく変わる予感はその時点でひしひしと感じていた。だから書かなきゃいけないと思った。でも、あそこで引用していた「今後のシナリオ」…
こういうことはちゃんと書いておくべきだと思うのでブログに書きとめておこう。 ■社会が揺らぐとき 新型コロナウイルスの拡大感染によって、社会が大きく揺らいでいる。ここ数日、状況が目まぐるしく変わりつつある。 特にエンターテインメント産業は大きな…
Mura Masaのニューアルバム『R.Y.C.』がめちゃめちゃ格好いい R.Y.C アーティスト:Mura Masa 出版社/メーカー: Polydor UK 発売日: 2020/01/17 メディア: CD 『MUSICA』の今月号のディスクレビューでも書いたんだけど、脚光を浴びた2017年のデビューアルバム…
例年通り、紅白歌合戦を見ながら書いてます。 2019年はどんな年だったのか。 そのテーマについては、タワーレコード40周年記念特設サイトの連載コラム「ポップの予感」に書きました。 tr40.jp ディケイドの終わりには、変革が訪れる。時間の流れは連続で途切…
2019年はどんな年だったのだろうか。 それを振り返るためには、まず「9の年」が持つ、因縁めいた符合について語らなければならない。 ディケイドの終わりには、変革が訪れる。時間の流れは連続で途切れないものだけれど、人々はそこに意味と物語を求める。十…
忘れないうちに書いておこう。長谷川白紙のファーストアルバム『エアにに』がめちゃめちゃ素晴らしい。 エアにに アーティスト:長谷川白紙 出版社/メーカー: MUSICMINE 発売日: 2019/11/13 メディア: CD アルバムについては『MUSICA』の12月号でディスクレビ…