日々の音色とことば

usual tones and words

Fuji Rock Festival '12 1日目感想まとめ

いやあ、楽しかったね、フジロック。3日間あんなに晴れたのは初めてだったと思います。


そういうわけで、フジロックの雑感をまとめてアップします。ほんとはツイッターでいろいろ呟こうと思ってたんだよなあ。でも会場ではほとんど電波が入らず。グリーンステージやオアシスだったらまだしも、ホワイトより奥に行くとほとんど圏外。僕の使ってたのはauだったんだけど、どうやらdocomoやソフトバンクも相当繋がりにくい状況だったみたい。


というわけで、「ツイートしようと思ったことをスマホのメモ帳に保存」→「ホテルに戻ってまとめてUP」という形式で書かれたのが、これです。


■ハンバートハンバート×COOL WISE MEN 13:40分〜 FIELD OF HEAVEN


「フジロック前までに必ず上げてくださいね!」と念を押された原稿〆切を抱えたまま来てしまった苗場。しょうがない。よくあること。というか、毎年そう? orz。というわけで、駐車場に止めた車に残って、とりあえず進められるところまで原稿を進めてからリストバンド交換列へ。例年以上の混雑。1時間くらい炎天下で並ぶ。やっぱ今年はチケットが売り切れただけあって、いつもとは違う様子。でもまあ、スマッシュの運営側のことを考えれば、きちんと儲かってよかったね、という感じ。ここ10年くらいずっと「今のフェス人気はバブルだから、きっといつか弾ける」と言われ続けてきて、でもこの状況なんだから、結局「フェスバブル」って言ってる人はどっか外側からそう「言いたい」だけなんだよな、ということを思ったりする。

というわけで、なんだかんだで会場に入ったのは13時過ぎ。ハンバートハンバート×COOL WISE MENは最後の一曲しか観れなかった。というか、正確に言うと木道亭に行って次のsuzumoku+航を待ってる間に、聴こえてきただけだった。で、その一曲が、”サザエさん一家”。それもサビのところの歌詞を「♪フジロック フジロック フジロックは愉快だな〜」と歌う。笑った。こういうの、いいよね。たぶんヘヴンでも喝采集めてただろうな。


■suzumoku + 航 14:40〜 木道亭 


というわけで、この日、最初に訪れたのはボードウォークの中にある木道亭。ここ、好きなんだよね。個人的にはフジのベストスポットだと思ってる。特にこの日みたいな暑い日は、森の中で、近い距離でステージでアクトを観れるというのは、すごくありがたいと思ってる。で、ここでこそ観れるいいライヴってのも多いんだよね。去年のpredawnもすごくよかった。

というわけで、suzumoku+航。ちょっと前にリリースされたアルバム『80/20 -Bronze-』でインタヴューをしたからってのもあるんだけど、そのナタリーでの取材で言ってた「近い距離」での強さがどう発揮されてるのかがすごく興味深かった。で、それがちゃんと発揮されてたと思う。

特に“僕らは人間だ”は、ちょっと鳥肌が立つくらいの出来だった。


■THA BLUE HERB 15:45〜 ホワイトステージ

フジは5年ぶり4回目の登場の出演。最初の出演は12年前らしい。BOSSのラップは何度もそれに触れてた。そういえば僕は、TBHのフジのステージの全て見ていたと思う。最初はレッドマーキーの深夜4時。終わったら、朝焼けの光が広がってた。その次も深夜。確か『LIFE STORY』を出した後。で、去年のクラムボンのグリーンステージ、「あかり from here」でゲストに登場したときは、ちょっと涙ぐむくらいの真に迫るパフォーマンスだった。

アルバム『TOTAL』をリリースしたばかりだからその内容に沿ったライヴになるかと思っていたら、全然違った。特別なセットだった。フジロックとTHA BLUE HERBは特別な「契」を持っていて、それを紐解いていくような商だった。

「俺はフジロッカー相手には強がらない」。そんなことも言ってた。

ラストは「未来は俺らの手の中」。これまでにBOSSが書いてきた言葉を散りばめながら、12年の旅をめぐる一つのストーリーを作っていくようなステージだった。

ただ、同時に、たぶん今のTHA BLUE HERBって、少し離れた客観的なところから見たら、冷めてしまう人もいるんだろうなとも、思った。知り合いで「説教くさい」って言ってる人もいたし。でも、僕はそれでもいいと思うんだよな。とにかく、あの内側にいると、BOSSの言葉のとんでもない熱量を浴びれるような体験をできるから。一緒に深いところまでたどり着けるような気がする、というか。

ギル・スコット・ヘレンは亡くなってしまったけれど、日本にはILL-BOSSTINOがいる。そんな感じ。


■BOOM BOOM SATELLITES 17:30〜 グリーンステージ

貫禄のステージ。まあ、ブンブンサテライツのライヴでそうじゃないものを観たことはないんだけど、やっぱり圧倒的。そして、彼らもフジロックのスペシャルなセットだった。

基本的に曲と曲をインタールードでつなげ、MCもほぼ無し。1曲目は新曲の"ANOTHE PERFECT DAY”、そして“Every moment I count”から”KICK IT OUT”を経て“DRESS LIKE AN ANGEL”まで、最近の曲からライヴの必殺曲、そして初期の楽曲までをつなげるベストセット的なセレクト。

一音一音に強靭な説得力があって、それにひたすら打ちのめされながら上がっていくような感じ。

あと、二人がフライングVを構える図はやっぱり何度見ても格好いいと思うなあ。


■苗場音楽突撃隊 19:30〜 苗場食堂

BEADY EYEは去年にサマソニで観た時にイマイチだったのでパスすると決めて、オアシスエリアで飯でも食おうと思ってきたときに始まったのが、苗場音楽突撃隊@苗場食堂。これがなかなかよかった。“太陽に吠えろ”のテーマ“などなど、絶対一度は耳にしたことのあるような鉄板のメロディを、ホーンセクションとパーカッションを従えたフルバンドのスタイルで引き倒す。メンツを見たら池畑潤二さんはじめ凄腕のミュージシャンが揃ってる。

お祭りバンド、かくあるべし!みたいな感じでした。


■ストーン・ローゼズ  21:30〜 グリーンステージ

グリーンステージ後方で見てました。大歓声。ぎっしりの人。一曲目“アイ・ワナ・ビー・アドアート”! 続いて“サリー・シナモン”! やっぱりテンション上がる。最高!

……と思ってたんだけど、そのうち「あれ?」って思い始めた。なんか、普通のロックバンドだなあって。曲はいいし、ハーモニーも気持ちいいし、懐かしいんだけど、なんか、もっと「とんでもないもの」だったんじゃなかったっけ?って。イアン・ブラウンのガナリ声の歌が音程外しまくりだったのはまあご愛嬌として、ジョン・スクワイアのギターも、マニのベースも、レニのドラムも、「うん、いいよね」という感じ。もっと「すげえ、すげえ!」ってなると思ってた。実は僕自身はストーン・ローゼズはリアルタイムで通ってなくて、ライヴを観るのは初めてだったりする。だからよく知らないんだけど、全盛期のローゼズって、こんなもんだったの?って感じ。'08年のマイブラの“ユー・メイド・ミー・リアライズ”の時に感じた「やっぱり化け物でした、すいません!」って感じと、どうしても比べちゃうんだよなあ。

これ、思い出補正が効かない、って感じなのかな。そんな、消化不良な思いを抱えたまま、“フールズ・ゴールド”あたりで切り上げてジェイムス・ブレイクへ。

■ジェイムス・ブレイク 22:25〜 ホワイトステージ

素晴らしかった。美しかったし、予想以上にフィジカルに「揺さぶられる」ステージだった。

ピアノを弾きながら歌うジェームス・ブレイク(意外にイケメン)と、ベーシスト、ドラマーの3人編成。バンドスタイル。オートチューンも勿論かかっているんだけど、アルバムでは加工されまくっていた声が、わりとそのままに近い形で届いてくる印象。

とにかく音がいい。というか、一つ一つの音が研ぎ澄まされていて、生で体験すると、何より歌の「凄み」のようなものが伝わってくる。

それを如実に感じたのがやっぱり“CMYK”から“リミット・トゥ・ユア・ラブ”。

ずむむむむーんという低音が服の裾をびりびりと揺らして、カカカカーンってハイハットが、じゃなかったスネアの音が響いて。緊迫感あるピアノと、丁寧な歌。繊細な歌が、響く。

「ポスト・ダブステップ」とかじゃなくて、新しいアーバン・ソウル・ミュージックの形だよなあ、とつくづく思う。つまりは圧倒的な「歌心」のアートフォーム。そういう感じ。この日のベスト・アクトでした。


というわけで、車に乗ってホテルに帰って就寝。バタンキュー。