日々の音色とことば

usual tones and words

2023-01-01から1年間の記事一覧

今年もありがとうございました。/2023年の総括

例年通り、紅白歌合戦を観ながら書いています。 2023年はどんな年だったか。ここのところ恒例になっている宇野維正さんとのトークイベント「ポップカルチャー事件簿『2023年徹底総括&2024年大展望』編」でも語りましたが、やっぱりエンタテインメントの領域…

『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』重版記念/「ボーカロイド文化のその後の10年」

『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』が増刷しました。 2014年4月の刊行から9年目。これで3刷目となります。こういうたぐいの本が発売から時間が経ってから重版となるのは本当に嬉しい限り。僕にとっては初の単著でもあり、思い入れの大きな本でもあります。…

映画『バービー』に潜む“死”と“不安”

『バービー』を観た。 驚いたのは、予想してた以上に“死”にまつわる映画だったということ。 全然気付かなかった。なにしろキャッチコピーは「バービーの世界、初の実写化!」。キービジュアルもピンク色のカラフルな仕上がりだし、予告編もまるでおとぎ話の…

『君たちはどう生きるか』に描かれた“誕生”と“継承”

『君たちはどう生きるか』観てきました。 すごかったです。とにかくすごかった。ポスタービジュアル以外何も公開されない特殊な宣伝手法もあって、ストーリーも登場人物も全く前情報がない状態で観た宮崎駿監督の最新作。年齢を考えるとこれが最後の作品にな…

小さくて弱いもの、疎外されたもの、傷ついたものの側に立つスピッツの歌について

スピッツの『ひみつスタジオ』がすごくいい。 これまでのスピッツのアルバムの中で一番好きかもしれない。何度か聴き返して、どういうところが好きなのか改めてわかってきた。 ストリーミングチャートでヒットして新たな代表曲になりつつある「美しい鰭」と…

NewJeansとアジアと「チョベリグ」な日本

僕が『平成のヒット曲』という本を出したのは約2年前の2021年のこと。そこの後書きにはこう書いた。 改めて振り返った今、ひょっとしたら我々が過ごしてきたのは、ある種の「幸福な時代」だったのではないだろうかという思いがある。 もちろん、そう考えない…

バック・トゥ・ブログ 2023

久しぶりにブログを再び動かしてみようと思う。 ありがたいことに、去年から朝のラジオ番組に定期的に出演させてもらうようになった。テレビからもたびたびお声がけいただくようになった。本も何冊か出版することができた。 「音楽ジャーナリスト」という肩…

ELLEGARDENが教えてくれた「歳を重ねても色褪せない」ということ

※2023年2月28日に「ARTICLE」というサイト(現在は閉鎖)に掲載された文章の再録です 「誰だって自分に火がつく歌があるはずだ」 ​ ELLEGARDENの細美武士は約16年ぶりの新作アルバム『The End of Yesterday』の収録曲「Firestarter Song」でこう歌っている。…

TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』と結束バンドが鳴らす「下北沢のあの時代」

※2023年1月27日に「ARTICLE」というサイト(現在は閉鎖)に掲載された文章の再録です 邦ロックの系譜を受け継ぐ、完璧なアルバム まさかの傑作アルバムが届いてしまった。 ジャケットの絵柄からいわゆる"アニソン"かと思いきや、アニメの関連作品でありつつ…