日々の音色とことば

usual tones and words

toe取材

For Long TomorrowFor Long Tomorrow
(2009/12/09)
toe

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4年ぶりのアルバム『For Long Tomorrow』をリリースするtoeを取材。

音源としても、前のEP『new sentimentality e.p.』からは3年ぶり。そのEPでもアコースティック・ギターや鍵盤楽器を使った新たなアンサンブルを打ち出していた彼らだけれど、新作ではその方向性がさらに突き進めらたオーガニックなしあがりになっている。その一方で、サンプリング・エディット/エレクトロニカ的な方法論もある。“ポスト・ロック”というようなシンプルな枠組みは、もはや当てはまらない。

とはいえ、彼らの最大の魅力である“泣き”の情感が軸になっているおかげで、アルバムには絶妙な統一感がある。基本的にはインスト・バンドではあるけれど、歌モノの楽曲も含む新作。それでも両者はシームレスに繋がっている。一つ一つの楽器に“歌心”が根付いている。そういう形容が彼ら以上に似合うバンドを、僕は知らない。原田郁子や土岐麻子の声もいい。

自主レーベル「Machupicchu Industrias」を主宰しているだけあって、アルバムの内容だけでなく、テレコを止めてからの「バンド活動のあり方」の話もとても興味深かった。全てDIYによる彼らのようなバンドが「続いていく」ことは、日本のポップ・カルチャーにとって、とても大切なことだと思う。