例年通り、紅白歌合戦を見ながら書いてます。
今年もいろいろあった一年でした。個人的には、講談社現代新書から『ヒットの崩壊』という新刊を出せたことが、何より大きかったです。
『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』に続いて2冊目の単著なのですが、一つの代表作になるようなものを書こうと思って取り組みました。おかげさまで反響は大きくありがたいかぎり。
おかげさまで、この本が刊行されたタイミングで様々な媒体でインタビューや対談に取り上げていただきました。ラジオ出演も、ひとつひとつ嬉しかったです。
いろんな人と話していても、今年は音楽シーンが「面白かった」という声を沢山聞いた一年でした。00年代後半あたりにあった閉塞感とは明らかにムードが変わっていた。
僕としては2010年代に入って明らかに時代の変化が訪れていたので、そのことをちゃんと記すことができたのはよかったと思います。
■2016年の年間ベストについて
2016年の年間ベストについては、『ミュージック・マガジン』に寄稿しました。
そちらで選んだのがこの10枚。
- ブンブンサテライツ『LAY YOUR HANDS ON ME』
- 宇多田ヒカル『Fantome』
- フランク・オーシャン『blonde』
- ボン・イヴェール『22, A Million』
- フランシス・アンド・ザ・ライツ『Farewell, Starlite!』
- Chance the Rapper『Coloring Book』
- BABYMETAL『METAL RESISTANCE』
- アノーニ『Hopelessness』
- サニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』
- ぼくのりりっくのぼうよみ『Hollow World』
ミュージック・マガジンのレギュレーションでは2015年12月にリリースされた作品が含まれるのでぼくのりりっくのぼうよみ『Hollow World』が入っているのですが、2016年にリリースされたアルバムから選出するならば、そのかわりにビヨンセ「Lemonade」が入ると思います。
そして『MUSICA』には国内アーティストのベスト10を、リアルサウンドには海外アーティストのベスト10を寄稿しました。
そちらで選んだのが、それぞれこの並びです。
- ブンブンサテライツ『LAY YOUR HANDS ON ME』
- 宇多田ヒカル『Fantome』
- BABYMETAL『METAL RESISTANCE』
- サニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』
- 星野源『恋』
- 欅坂46『サイレントマジョリティー』
- RADWIMPS『人間開花』
- コトリンゴ『この世界の片隅に オリジナル・サウンドトラック』
- 蓮沼執太『Melodies』
- yahyel『FRESH AND BLOOD』
1.Francis and the lights『Farewell,starlight!』
2.Porter Robinson & Madeon『Shelter』
3.Frank Ocean『Blonde』
4.Bon Iver『22, A Million』
5.Chance the Rapper『Coloring Book』
6.ANOHNI『Hopelessness』
7.Japanese Wallpaper『Japanese Wallpaper』
8.Beyonce『Lemonade』
9.David Bowie『★』
10.The Japanese House『Swim Against the Tide』
■2017年に向けて
これは、来年というより、もう少し長いスパンでの話かな。
上のspincoasterの野島さんとの対談でも語っていることなんだけれど、おそらくこの先の世界は、長い目で見れば分散型の社会になっていくと思うんです。インターネットの普及は、「情報の流通」という力をマスメディア的な中央集権モデルからP2P的なモデルに移行させてきた。そしてSNSの普及は、「影響力」という力を個人に分散させていく。その流れで、次は「信用の付与」が分散していくタームに入るのだと思う。
そのことを踏まえて、これはずっと思っていることなんだけど、どんどん「裏で舌を出す」ような生き方が通用しなくなっていくのを目の当たりにしている。だからこそ。
来年も、正直に、足元を見失わないように、やっていこうと思ってます。
当たり前のことだけど。