日々の音色とことば

usual tones and words

今年もありがとうございました。/2024年の総括

例年通り、紅白歌合戦を観ながら書いています。

 

2024年はどんな一年だったか。冷静に振り返ろうと思ったけれど、どうしても数日前に母が亡くなったことが心の大きなところを占めたまま。なんだか大変な一年でした。忘れられない年になったと思います。

 

ただ。

 

失うということ。いずれ全てが失われるということ。それはずっと僕の胸の中にあって、変な言い方かもしれないけれど、心の支えのようなものにもなっていた。前にもこういうことを書いていた。

 

全ては失われるし、全ては無になる。諸行は無常である。そのことにとても強いセンチメントと信頼を抱いている。

shiba710.hateblo.jp

 

仕事の方面では、ありがたいことに去年から続いてのTBS『ひるおび』やNHK『あさイチ』などいくつかのテレビ番組に出演させていただいたり、米津玄師や宇多田ヒカルなどとても大事なアーティストの取材をさせてもらったり、ずっと忙しくしていたように思います。

 

でも、足元を見失わないように。耳をすませて、気配を感じて。そういうことを思います。

 

2024年はどういう一年だったか。タワーレコード「No Music, No Life」の連載コラム「ポップの羅針盤」にはこんな風に書きました。

 

社会に流通する情報の量はとっくに人の処理能力を上回るほどの莫大なものになっている。そして人々の興味や関心の多様化もさらに進んでいる。アメリカ大統領選や兵庫県知事選挙で明らかになったように、新聞やテレビなどのマスメディアが規定する価値観のフレームワークは以前のような共同幻想を表出させる力を失いつつある。人々はそれぞれの「真実」を信じ、それぞれの「物語」の中に生きる。アルゴリズムが駆動するソーシャルメディアの構造がそれを加速させる。

それぞれがそれぞれの「物語」を生きるようになった。であるがゆえに、意味よりも強度が強く作用するようになった。そういうことを改めて感じる2024年だった。

 

【ポップの羅針盤】第10回 2024年は「物語」より「体感」の一年だった by 柴 那典 – No Music, No Life.


星野源が紅白歌合戦で「ばらばら」を射抜くような目で歌っていて、改めて、これは2024年の歌だったなと思う。「世界はひとつじゃない」「世界はひとつになれない」「ぼくらはひとつになれない そのままどこかにいこう」。リリースされたのは2010年だったけれど、あの曲の歌詞が持つ説得力は今になってどんどん明確なものになってきているように思います。

 

そして米津玄師が「さよーならまたいつか!」で「人が宣う地獄の先にこそ わたしは春を見る」と歌っていて、やっぱりこれも2024年の歌だなと思う。


来年も、正直に、足元を見失わないように、やっていこうと思ってます。


最後に2024年の個人的なベストアルバムとベストソングを。


2024年のベストアルバム

1.    米津玄師『LOST CORNER』
2.    Charli XCX『Brat』/『Brat and It’s Completely Different But Also Still Brat』
3.    Noah Kahan『Live From Fenway Park』
4.    Billie Eilish『Hit Me Hard and Soft』
5.    Jamie XX『In Waves』
6.    Dos Monos『Dos Atmos』
7.    THE SPELLBOUND『Voyager』
8.    Beyoncé『Cowboy Carter』
9.    Christian Lee Hutson『Paradise Pop. 10』
10.    Ålborg『the way i see you』
11.    A.G.Cook『Britpop』
12.    Taylor Swift『THE TORTURED POETS DEPARTMENT』
13.    Halsey『The Great Impersonator』
14.    Clairo『Charm』
15.    Official髭男dism『REJOICE』
16.    tofubeats『NOBODY』
17.    Number_i『No.1』
18.    Zack Brian『The Great American Bar Scene』
19.    Bleachers『Bleachers』
20.    BUMP OF CHICKEN『IRIS』

2024年のベストソング

1.    宇多田ヒカル「Electricity」
2.    米津玄師「がらくた」
3.    藤井風「満ちてゆく」
4.    haruka nakamura「Light Song」
5.    MILLENNIUM PARADE「KIZAO」
6.    Bon Iver「THINGS BEHIND THINGS BEHIND THINGS」
7.    Charlie XCX「Everything is romantic」
8.    mxmtoon「rain」
9.    Paris Paroma「last woman on earth」
10.    The Cure「Alone」
11.    Vaundy「Gift」
12.    ZAZEN BOYS「永遠少女」
13.    Myles Smith「Stargazing」
14.    MJ Lenderman「Loker Lips」
15.    Tempalay「愛憎しい」
16.    MONO NO AWARE「もうけもん」
17.    Hedigan’s「説教臭いおっさんのルンバ」
18.    Enfants「洗脳」
19.    SYML「God Only Knows」
20.    Delaney Bailey「Dance Again」