日々の音色とことば

usual tones and words

コンテンツ産業の未来について

音楽のレッスン - 池田信夫 blog
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/3d1f9d50de25a2761161a068c3b1fdb3

テーマは「あなたが音楽業界(の崩壊)から学べること」。原文は、元Yahoo!副社長にしてマーケティング界のカリスマ、Seth Godin氏のブログより。

これは音楽業界に対する教訓ではなく、他のビジネスが音楽産業の失敗を繰り返さないための教訓である。企業に生存権はない。消費者に見離されたビジネスは、消滅するのが資本主義のルールだ。かつてレコードが出てきたとき演奏家の組合が反対したのと同じ失敗を、レコード業界が繰り返しているのは、悲しい笑い話だ。

と、池田氏は書いている。現実は、悲しいかな、確かにその通りだと思う。ただし、見出しだけ読むとただ「m9(^Д^) 音楽業界オワタ」とただ指摘されてるような気になるけれど、Seth Godin氏はちゃんと“対処”というか“方策”というか、そういうものについても書いている。僕の英文読解力のレベルは残念ながらあんまり高くないので誤読している可能性はあるのだが、キーとして語られているのは「Permission」と「subscriptions」。それを一つにすることが、音楽業界にとっての最も大きなチャンスとなる、と書いてある(あってるかな)。

口惜しながら、辞書を引きました。「承認」と「購読」? 無理やり意訳するなら、コンテンツとの“つながり”ということになるのかな。

ミュージシャンにとっては、1万人のファンがいれば十分潤沢に「食っていける」。レコード産業が成り立たなくなろうとも、ライヴなどを足場にしてその“つながり”が維持する道筋をきちんと作り上げることができたなら、(ダウンサイジングされ再構築はされているだろうけれど)音楽というコンテンツをビジネスにしていくことは可能だと、僕は思う。悲嘆と希望なら、僕は希望のほうにベットする。

一方、今日発表されたニュース。

吉本興業がブログサービス「ラフブロ」開始。約500名の芸能人が参加(Impress Watch)
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/20657.html

吉本興業が、遂に自前のブログサービスを立ち上げるという。芸人だけじゃなく、他事務所のミュージシャンやタレントも参加。もちろん、「ブログサービス」なのだから登録すれば誰でもブログを開設することが可能。集客向上のために芸能人ブログの開設に躍起になっている現ポータルサイトにとっては、脅威の的となるはずだろう。ただ、話はそれだけの規模のものではない、と僕は思う。これって、ひょっとしたらSeth Godinが書いていた「Permission」と「subscriptions」のための装置になるんじゃないだろうか? 将来において、様々な形で「お笑い」をはじめとしたコンテンツとの“つながり”を供給する一つのプラットフォームとなる可能性があったりするんじゃないだろうか。

運営するのは、株式会社よしもとファンダンゴ。前身の株式会社ファンダンゴは、まだYahoo!BBが街頭でモデムを配りまくったりする前の2000年に、吉本興業とKDDIの出資で設立。ブロードバンドという言葉に今のようなリアリティが全然なかったころに、コンテンツのネット配信に取り組み始めている。

これは重要:ビジネスモデルを変えるのは、過去の勢いがあるうちだ

という言葉の意味を痛感する。