日々の音色とことば

usual tones and words

でんきグルーヴワークショップ

2月から始まっている「でんきグルーヴワークショップ」が、すごい。


denki_groove

電気グルーヴのオフィシャルサイトhttp://www.denkigroove.com/)がいつの間にかめちゃかわいい雰囲気に変わっていたことにも驚いたけれど、ホームページ上ではもっと驚きの企画が進行していた。4月2日発売予定のニューアルバム『J-POP』から、作成予定のデモ音源を徐々にUPしていくという試み。

ここ数年、発売前の音源のネット流出は音楽業界にとって大きな問題になり続けている。であるからこそ、特に大物のアーティストであればあるほどその管理は厳重になってくる。海外アーティストだと、そもそも視聴用の音源が配布されないことも多い。

たとえばシステム・オブ・ア・ダウンの『スティール・ディス・アルバム』は、レコード制作時のアウトテイク音源がネット流出したのを受けて、急遽リリースされたものだった。CD-Rを模したジャケットデザインも、タイトルも、それを受けて「公式ブート盤」のような扱いになっている。彼らの場合はタフなユーモア精神があるのでこういうリリースもできるわけだが、実際に広まっている被害は甚大なものがある。

スティール・ディス・アルバムスティール・ディス・アルバム
(2002/12/26)
システム・オブ・ア・ダウン

商品詳細を見る

で、電気グルーヴのやっていることは「どうせ流出するなら最初っからネットに公開してしまう」という手法。しかも、タイトルも明らかに仮のものっぽい。2月8日更新分の4曲では、「完璧に無くして」「Shonanacid」「半分人間だもの」「アルペジ夫とオシ礼太」。聴いてみると、まだパーツ段階のようなビートとシーケンスが鳴っている。ここからアルバムの全体像を読み取ることはまだまだ不可能だろうけれど、なんとなくの雰囲気は伝わってくる。

まだまだ推測なんだけれど、ひょっとしたら電気は、いまだかつてない「オープンな音楽」を作ろうとしているんじゃないだろうか? そう考えると、フジやライジングやCDJなどフェスの場で「ヒット曲連発」を解禁してきたことも繋がってくる。自分たちの過去の歩みを資産として受け入れた上で、音楽性というよりも別の角度から「新しいこと」にチャレンジしてるのではないだろうか? そんなことを思う。少なくとも2000年の『VOXXX』では、こんな試みはあり得なかっただろう。

どんなアルバムが出来上がってくるか、とても楽しみ。


モノノケダンスモノノケダンス
(2008/02/14)
電気グルーヴ

商品詳細を見る

(追記)

「タイトルも明らかに仮のものっぽい」って書いたのは大きな間違いでした。

NEW ALBUM
「J-POP」
2008年4月2日発売
初回限定:KSCL-1228〜1229 \3,360(tax in)
通常:KSCL-1230 \3,059(tax in)

01.完璧に無くして/Kanpeki Ni Nakushite
02.エキスポ ヒロシマ/EXPO Hiroshima
03.ズーディザイア/Zoo Desire
04.いちご娘/Ichigo-Musume
05.半分人間だもの/Hanbun Ningenn Damono
06.モノノケダンス(Album Mix)/Mononoke Dance
07.アルペジ夫とオシ礼太/Osclator To Arpeggio
08.少年ヤング(Album Mix)/Shonen Young
09.スーパースター/Super Star
10.地蔵/ZIZO
11.シュチェチン/Szczecin
12.リンギンベル/Ringing Bells

すごいなあ。