日々の音色とことば

usual tones and words

あけましておめでとうございます/紅白について

あけましておめでとうございます。

2012年の年末は、カウントダウンライヴには行かず、家で紅白歌合戦を観ていました。久々にじっくり観た。面白かった。それぞれの短い持ち時間にいろんな演出とドラマが凝縮されていた。

最初に痛感したのは、これは今年に始まったことじゃないけれど「多人数が踊る」ということのシンプルな強さ。AKBにジャニーズと、日本のポップカルチャーの主流がそこにあることが一目瞭然だった。ディズニーと嵐とAKB48とPerfumeが共演したメドレーは、ある意味現時点のキャラクター文化の頂点を見せつけられたような説得力もあったし。あと、それに対してのオルタナティブとしてきゃりーぱみゅぱみゅの”ウィアード・ジャパン”なセンスも最高だった。番組的にも、背景の映像の見せ方や遠隔操作のサイリウムなど演出面のテクノロジーも進化していて、目が離せない。

そして、グッときたのはももクロと美輪明宏さんだった。

とか言って面白がってたのは、まだまだ序の口だった。

ももいろクローバーZは“行くぜっ!怪盗少女”で、結成から4年間の物語を数十秒の間に込めた。曲の後半、5人ではなく、すでに脱退した早見あかりを含む6人の名前をコールしたときの鳥肌感。ファンなら一瞬でその意図を把握するだろうし、知らなかった人も気になって検索したらドラマが押し寄せてくる。しかも、番組制作サイドはそのことを言葉で一切説明することなく、しかし青色の照明やリボンの演出、巧みなカメラワークでその物語を補強している。(これには気付かなかった!)

そして美輪明宏。数十秒にわたる暗転の後、シンプルな衣装に、黒髪。スポットライトもカメラも一台。「観るものを飽きさせない」ための演出がひたすら続いたあとに、その対極の見せ方で浮かび上がった歌の迫力と描写力。圧巻だった。

もちろん、他にも目を離せない場所は沢山ありました。いきものがかり、も。タクヤさんいいこと言うなあ。

いきものがかりの「風が吹いている」がすごいのは、やっぱり最後の「La La La…」っていうコーラスのところだと思う。あれを入れるのは相当な勇気がいるでしょ。作り手が「これは壮大なスケールの曲ですよ」ってことを自ら宣言してるわけだから。普通だったら気恥ずかしくてそんなことできないし、さりげなく作った小品ですって言ってたほうがどんだけラクか。

でも今のいきものがかりの3人にはそれを引き受ける覚悟と勇気があって、国民的な名曲を作ろうっていう馬鹿みたいな目標を掲げて、本当にあの名曲を作ってしまった。実際、曲自体もあの壮大なコーラスに耐えるだけの強度を持ってて、紅白歌合戦のクライマックスで歌われて、老若男女を感動させてるっていう事実。それをあの、どっから見ても普通の姉ちゃんと兄ちゃんたちが成し遂げてるっていう奇跡。ほんとにすごいと思う。

いきものがかり「風が吹いている」について – TAKUYAONLINEhttp://d.hatena.ne.jp/takuya/20130101/1356975904

最近いろいろ考えていたわりに上手く言葉にできなかったというかモヤモヤしてたところがあったけれど、紅白を観て少しわかったというか、考えが変わってはっきりしたところがあって。

僕はもう、何かを揶揄したり叩いたりするような物言いには与したくないなあ、という思いがあるのですよ。だって日本の音楽シーン、面白いから。紅白ではAKBもPerfumeもきゃりーぱみゅぱみゅも、ももクロも嵐もいきものがかりも、それぞれのやり方で「国民的番組」のパッケージの中で勝負するポップカルチャーとしての強度を高めていて、一方で美輪明宏さんとか矢沢永吉さんとか(紅白には出てなかったけど)桑田佳祐さんみたいな圧倒的な存在がいて。で、今年は行けなかったけれど、幕張メッセの「COUNTDOWN JAPAN 12/13」は10回目にして過去最高となる4日計15万5000人を動員していて。ボカロやネットレーベルもさすがに全部は追いきれてないけど凄いなあと思う動きは沢山あって。多様性があって熱量が点在しているなら、それは素晴らしいことなんじゃないかと思うんだよね。

そんなわけで、今年もよろしくお願いします。最近は「働く」ということとか、「価値」ということについてもつらつらと考えていたので、2013年はもうちょっと幅広く、考えたことをブログに書いていきたいなと思ってます。言い忘れないうちに。